地元
「ご当地ナンバー」なぜモメる? 朝ドラで騒動 ブランドか愛着か…
自治体の知名度アップや地域振興を期待して生まれたご当地ナンバーですが、住民の反対にあうケースが相次いでいます。市町村合併で新しい地名も増えた今、ご当地ナンバーの成功と失敗について、専門家に聞きました。
全国都道府県ランキングの「地域ブランド調査」を実施しているブランド総合研究所(東京)の田中章雄社長は「地名や名前の思い入れは住民それぞれある。強制でなく、複数から住民がご当地ナンバーを選べるのが望ましい」と話します。
ご当地ナンバーは旧藩名や海岸、山脈など、その土地を象徴的に表す名前が選ばれる事が多いといいます。しかし、名前と対象地域にイメージや由来との隔たりがある場合、トラブルになりやすいそう。市町村合併で自治体名を決める際にも起きるといいます。
実際、新潟県の4市町は「雪国魚沼」の導入を断念しています。現行の「長岡」支持が根強く、「雪国という言葉に暗い印象を持つ人もいる」との声もありました。
島根県出雲市などが申し込んだ「出雲」では、雲南市が離脱。現在の「島根」に愛着があるという声が目立ったといいます。
放送中のNHKの連続テレビ小説「半分、青い。」を巡り、取りざたされているのが「東美濃」ナンバーです。
ドラマは架空の街「東美濃(ひがしみの)市」で物語が進みます。 岐阜県多治見市や中津川市など7市町と商工会議所で協議会をつくり、現行の「岐阜」から「東美濃」ナンバーの導入を目指しています。
しかし、協議会が今年1月、「東美濃」ナンバーの導入について住民1万人へのアンケートを実施したところ、「賛成32%、反対45%」の結果に。
国土交通省への申し込み主体である岐阜県が「住民の合意形成」に懸念を持ち、「待った」をかけました。
県は国に申込期限を9月下旬まで延期するよう要望し、国交省が認めました。地元首長や国会議員は、朝ドラで「東美濃」の認知度があがることに期待しています。
「東美濃ナンバー」について、田中社長は「美濃焼に代表されるように『美濃』は『飛驒』のようにイメージがいい。地元が考える以上にブランド力はあるし『岐阜』より良いのでは。これを機に地域のブランド力を高める工夫を考えてみるのも手ではないでしょうか」と言います。
とはいえ、岐阜も織田信長が名付けたとも言われる由緒ある地名。そう簡単に決着はつかず、確かに好みで選べるのがよいかもしれません。
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