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2018年02月13日

「戦力外通告」の元サッカー選手が、国際機関にスカウトされるまで

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元プロサッカー選手の阿部博一さん。現在はアジアサッカー連盟でプロジェクトマネージャーをつとめる

元プロサッカー選手の阿部博一さん。現在はアジアサッカー連盟でプロジェクトマネージャーをつとめる

 プロスポーツの世界で活躍できるのは、選ばれた人だけです。競技を離れた元選手は、どのようにセカンドキャリアを築いたのでしょうか。元プロサッカー選手の阿部博一さん(32)は現在、マレーシアにあるアジアサッカー連盟でプロジェクトマネージャーをつとめています。転職が当たり前になりつつある日本。阿部さんに、セカンドキャリアの築き方を聞きました。


【動画】セカンドキャリアについて語る阿部博一さん=戸田拓

仕事に生かせる知識が少なかった新入社員時代

<プロサッカー選手になった同年シーズンオフに戦力外通告。その後、米国大学院への進学を経て就職>

 三菱総合研究所に入社したのが29歳の時でした。一般的に新卒の人は22歳で働き始めるので、同世代には既に部下がいて、チームをリードしている人もいました。

 正直、出遅れているという「焦り」はありました。入社当初から質の高いアウトプットを求められていたので、思った通りに結果を出せない自分に苛立つことも多々ありました。

 三菱総合研究所では2年半の間、官公庁の事業計画策定、政策立案のための調査などに従事しました。

営業先に逆にリクルートされる

<古巣のJリーグからスカウト。声をかけられた理由は何事もトライする姿勢>

サッカー選手時代の阿部さん。念願のプロ契約の年、まさかの「戦力外通告」に……=阿部博一さん提供

サッカー選手時代の阿部さん。念願のプロ契約の年、まさかの「戦力外通告」に……=阿部博一さん提供

出典: 阿部さん提供

 1年目の時、元プロサッカー選手のセカンドキャリアサポートの新規事業を立ち上げたいと考え、Jリーグに営業に行きました。その時対応してくれたのが、Jリーグヒューマンキャピタル(JHC)の担当者の方でした。

 JHCはJリーグが実施するスポーツビジネス経営人材育成プログラム。現在はスポーツヒューマンキャピタル(SHC)という名称に変わりましたが、当時は1期生を募集し始めるところでした。

 新規事業の提案に行ったところ、JHCに参加して欲しいと声をかけてもらいました。その時誘いを受けたのは、「何事も取り敢えずトライしてみる姿勢」が評価されたのではと感じています。

 社会人としての経験がまだ浅かったので、目の前にあるチャンスを掴もうと「直感」でやってみようと決めました。


ミッションを常に仲間と共有

<外国人部下4人とミッションを共有。ミッションがあれば業務改善が進むという>

 現在、マレーシアのクアランプールにあるアジアサッカー連盟(AFC)のレフェリー部に所属しています。 

 昨年はAFCレフェリーアカデミー事業のプロジェクトマネージャーとして、中期計画策定、予算管理、リスクマネジメントなどを担当しています。直属の部下はマレーシア人3人、韓国人1人です。

共に働く仲間には、ミッションを常に意識しようと伝えています。AFCの事業は、「アジアのサッカーの発展」のために行っていて、その積み重ねが、「One Asia One Goal」というミッションの達成に繋がります。

 ルーティーンワークでさえ常にミッションの物差しで測ることで、業務改善が進むと信じています。

帰宅後は筋トレと勉強

<新しい仕事に備え3ヶ月サイクルで勉強を続けている>

 8時頃出社し、午後6時頃には帰宅します。帰宅後はジムで筋トレが習慣です。鍛えられた身体は、相手に対して「私はセルフマネジメントが出来ます」と伝えるわかりやすい手段です。

 また、今でも勉強は続けていて、3か月程度のサイクルでテーマを決めています。3ヶ月ぐらい真剣に勉強すると、どんな分野も概ね基礎が出来ると考えています。

 昨年は、プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)の資格の取得や、ファイナンシャルプランニングを勉強しました。今は業務改善のために、エクセルのVBAを学ぼうと考えています。

 数学に関しては、論理的思考の訓練になると考えています。基本的に全て独学ですが、活用しているツールには、「Blinkist」、「iTune University」、「Podcasts」等があります。

将来は国際連合への挑戦も視野に

<現役時代、3年間でプロ契約を目指した。今も、期限を作り次の目標を考えて働く>

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の図書館前にて

米国カリフォルニア大学サンディエゴ校の図書館前にて

出典: 阿部さん提供

 現在の仕事では、「サッカー」、「海外」、「管理職」という3つが自分にとって大きな魅力になっています。

 サッカー選手時代から、「世界で戦える日本人」を個人的なミッションとして持っていました。そのためにはなるべく早い段階で、海外の職場で自分のチームを持って仕事をするという経験が必要でした。

 一方で、4年経った時点で、AFCでの仕事を続けるべきか一度見直そうと考えています。自分が統括している「AFCレフリーアカデミー」で、最初の卒業生が出るのが4年後というのが理由で、一つの区切りになると考えています。

 その後は、同じAFCの経営企画のような部署で働いてみたいと思いますし、また、他の国際機関、例えば国際連合などもう少し大きなフィールドにステップアップしたいと思っています。

 キャリアチェンジの原動力は、新しい世界を見てみたいと思う衝動と、その環境で自分がどう変わるかという興味を持っています。

スポーツを通じて得たもの

<選手時代に身に付けた3つのことが、生きていく上での「軸」に>

 サッカーを通じて主に次の三つのことを特に大事にしていました。1対1で負けない(デュエル)、練習でも試合でも最後までやり抜く(グリッド)。

 そして、途中交代での出場が多かったので、試合に出たら必ず試合の流れを変えること(ゲームチェンジャー)は生きていく上での「軸」となっています。

 この3つはサッカーを辞めた今でも、自分の中で大切にしている価値観、つまり生きていく上での「軸」です。

 三菱総研時代や、現職では、新しいことを自分で考えて、それを形にすることが多いです。流れを180度変えるより、トヨタのカイゼンのように、今までやってきたことを見直して、新しいことチャレンジすることは日常業務の中にもあります。

 自分の人生を振り替えると、与えられた場所100%取り組んでいれば、自然と道が開けて来ました。転職自体はあくまで手段で、目的ではないと思います。

与えられた場所で100%取り組む

<就職、転職とキャリアを重ねる中、大事にしているのは「無理に動かない」こと>

 現役のスポーツ選手に、セカンドキャリアのためにどんな準備をすれば良いかと聞かれることがあります。「目の前の競技でどこまでも上を目指すのが大事」というのが僕の答えです。

 サッカーも辞めても、今はビジネスという「新しい競技」を始めたと考えています。セカンドキャリアは「競技」が変わるだけで、スポーツで培ってきたことはそのまま応用が可能。

 どんな「新しい競技」を選んだとしても、本質的に重要なことは、「目の前の競技でどこまでも上を目指すこと」だと考えます。

 転職や転向は、無理には動かない方が良いと思います。自分の人生を振り替えると、やることをやっていれば、向こうから声がかかることが多かった。

 自分の人生を振り替えると、与えられた場所で100%取り組んでいれば、自然と道が開けて来ました。

 サッカー選手になるためのチーム探し、戦力外通告を受けた後の大学院への進学、三菱総合研究所の就職、AFCへの転職、これらは自分が探し求めたというより、一生懸命やっていたら目の前にあったという感覚の方が正しいです。

 転職自体はあくまで手段で、目的ではないと思います。

目の前の「競技」でどこまでも上を目指す

<スポーツで培ったものはビジネスでも応用できる>

 現役のスポーツ選手に、セカンドキャリアのためにどんな準備をすれば良いかと聞かれることがあります。「目の前の競技でどこまでも上を目指すのが大事」というのが僕の答えです。

 サッカーも辞めても、今はビジネスという「新しい競技」を始めたと考えています。セカンドキャリアは「競技」が変わるだけで、スポーツで培ってきたことはそのまま応用が可能。

 どんな「新しい競技」を選んだとしても、本質的に重要なことは、「目の前の競技でどこまでも上を目指すこと」だと考えます。

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