連載
#8 東京150年
「カレー大好き芸人」相席スタートが選ぶコスパ重視の神保町カレー
400軒以上の専門店が集まり、都内きっての「カレーの街」となった神田・神保町。「M―1グランプリ」で決勝に進出したこともある男女の漫才コンビ「相席スタート」の山添寛さんは、年中カレーを食する「カレー大好き芸人」です。そのはまり具合や思い出、劇場がある神保町でのイチオシ店を、相方の山﨑ケイさんを交えて語ってもらいました。(朝日新聞東京総局記者・横川結香)
――カレーにハマったきっかけは
山添寛さん 絶対おかんのカレーですね。山添家の定番料理です。市販のルーをおかん流にブレンドして、残りの野菜を入れて。粗めに切ったキャベツも入ってて、俺は「合わないから入れんといてくれ」って主張してたんだけど。僕んち男の4人兄弟で、食べ盛りの頃は米8合炊いてた。
山﨑ケイさん おかんも「とりあえず作っとこう」って感じだったんだろうね。
山添 外食のカレーに目覚めたのは高校1年の頃。友だちに「CoCo壱番屋(ココイチ)に行こう」って誘われてから、外カレーもアリかなと。まかないが食べられるからバイトもして、1年間で8キロ太りました。今もよう行きますね。
ケイ この人、ココイチに行くと結構なお金を使う。トッピングにトッピングを重ねて。「ああーっ、これも」「うわーっ」「うわーっ、もういっちゃお」って。
――どのようなタイプのカレーが好みですか
山添 高級なのよりも大衆的なカレーが好き。コスパ重視というか。東京・神保町の「キッチン南海」のカツカレーが僕の中の一番です。生卵を付けても800円。
ケイ 神保町の劇場で仕事があった時、入りの1時間前なのに歩いている山添を発見した。小躍りしながら歩いてて。これはと思って尾行したら、案の定「南海」の店に並んでた(笑)。いつもと違う相方の背中を見てしまった……。
山添 「こんな値段でこんな満足感を与えてくれるのかー」と、カレー欲を満たしてくれる一皿です。
ケイ そういえば「カレー好き」を公言したら、差し入れにレトルトカレーをいただくことが増えたね。
山添 ファンの方に相当助けられました(笑)。全国のご当地カレーとか、高級路線のタイプとか。めちゃくちゃうれしいし、金がないので生活が助かった。他の芸人はオシャレな靴下やパンツ、マフラーとかいただいてるのに、僕はレトルトカレー二つとか三つです。
ケイ 山添もコスパが高い(笑)。
――忘れられない「カレーの味」はありますか
ケイ 昔の恋人が作ってくれたカレー。水は入れず、トマト缶を煮込むのがこだわり。むちゃくちゃうまくて、自分でも作ってみたけど味が違うんだよね。再現できない。作る人によって味が変わっちゃう。カレーって不思議ですね。
山添 同期芸人と3人でルームシェアしてた時、大量のカレーを作って3日は持たせた。で、減ってきたら水を足すんです。日数重ねたカレーってうまみが増すはずなのに、俺らはカレーがなくなるのが嫌で水を足して、鍋にこびりついたルーを溶かして。うまさは減っていくけど、量はちょっとずつ増える(笑)。めんつゆを入れてカレーうどん風にしたり、スパゲティのあんにしたり。もはやだまし合い。
ケイ エンドレスカレー状態だ。
山添 「お前ルーかけすぎやねん」ってケンカしながらね。楽しかった。僕にとってカレーの存在は例えるなら「クリスマス」です。友だちで食べるも良し、家族で食べるも良し、恋人と食べるも良し。僕の場合はもらっても良し。
ケイ ドヤ顔して何を言う(笑)。
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