話題
女子大生もろとも崩落…監視カメラには何が? ジャカルタ証券取引所
インドネシアの首都ジャカルタにある証券取引所で1月15日、ビルの中2階が落下して75人が重軽傷を負いました。被害にあったのは見学に来ていた女子大学生ら。いったい何が起きたのか…監視カメラの映像には、一度、引き返そうとする姿が写っていました。(朝日新聞国際報道部)
発生時の様子を監視カメラがとらえていました。
朝日新聞の古谷祐伸・ジャカルタ支局長が関係者から入手した映像によると、およそ50人ほどの女子大生が中2階の廊下を歩いています。
ところが、先頭を歩いている人たちが途中でなぜか引き返し、数十人が密集。直後、廊下を支えていた吊り具もろとも、床が1階に落下しました。
警察が事故原因を調査中ですが、会見や初期調査などから以下のことがわかっています。
・壊れたのは廊下だけ、建物本体に影響はなかった
・この廊下は柱で下から支えるのではなく、天井から吊って支えている
・廊下は幅2メートル、長さ30メートルほどで、1階からの高さは6メートル
・廊下は1平方メートルあたり500キロ(約8人)まで載せられる設計
設計の数字だけを見れば、一度に50人が載っても耐えられるはず。
インドネシア公共事業省は、廊下を支えていた吊り具が壊れた、ボルトがゆるんでいたなど、複合的な原因が考えられるとみています。
ビルの安全検査は昨年5月に行われたのが最後だったということです。
証券取引所の広報担当によると、監視カメラに写っていた女性たちは、スマトラ島南部パレンバンにある大学の学生。
午後2時から見学を始めるはずが、予定よりも早い正午前に建物に着いてしまったため、まずは礼拝をしようとビル内のお祈りスペースを探していました。
ところが、慣れない建物で道に迷ってしまったそうです。映像で女性たちが引き返していたのは、そのためでした。
インドネシアは、人口約2億6千万人の9割近くをイスラム教徒が占めます。イスラム教(スンニ派)は1日5回の礼拝をする決まりで、そのうち1回は正午すぎに行うことになっています。
証券取引所は1990年代後半に完成。30階超のタワー2棟からなり、高級ホテルやショッピングモールなどが立ち並ぶジャカルタ中心部の目抜き通り「スディルマン通り」に面しています。
2000年9月には、自動車爆弾が爆発するテロがこのビルの地下駐車場であり、10人以上が死亡しました。今回の事故で、当時を思いだした人も多かったようです。