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2018年01月05日

伊東歌詞太郎が初めて語る「もがいた人生」 「限界決めるのは自分」

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中高生に人気の伊東歌詞太郎さん。狐のお面がトレードマーク

中高生に人気の伊東歌詞太郎さん。狐のお面がトレードマーク

 中高生に人気のシンガー・ソングライター伊東歌詞太郎さん。2011年から始めたニコニコ動画への投稿が注目を集め、14年にメジャーデビュー。ツイッターのフォロワーは70万を超え、昨年末は大型フェス「カウントダウンジャパン」にも出演しました。昨年12月22日に都内であった中高生に向けの講演会では、いじめを受けていた小学生時代や貧乏生活に陥った大学生時代などのエピソードを初めて披露。逆境に直面しても、それをプラスに変えて夢をつかんだこれまでを振り返り、「これまで、もがきにもがいた人生だった。どんな夢でもいいので、スタートも限界も自分で決めてほしい」と学生たちにエールを送りました。


出典:ツイッターで講演会終了を報告する伊東歌詞太郎さん

自らの過去、語るのは初めて

 音楽活動以外にもラジオのパーソナリティーなど、幅広いフィールドで活躍する歌詞太郎さん。「まっすぐな歌声にほれました」「いつも勇気づけられています」と中高生から熱い支持を集めています。

 しかし、自らの幼い頃からの過去を語ることは今までありませんでした。中高生と保護者350人を招待した朝日新聞社・都内中部朝日会主催の講演会「夢をかたちに!」が、小学生からバンドマンの歩みを始めた頃までの半生を語る初めての機会となりました。

講演会に参加した中高生は歌詞太郎さんへ手書きのメッセージを寄せた

講演会に参加した中高生は歌詞太郎さんへ手書きのメッセージを寄せた

いじめられた経験「今はプラス」

 「もがきにもがいた人生。こうやって話すのは初めて」。そう語り始めた歌詞太郎さんはいきなり、「小学生の6年間、いじめを受けていた」と告白します。

 「今でもいじめのニュースは報道されるけど、それと変わらない、ひどいいじめだった。そして、いじめている側は何にも覚えていないことが多い。僕の場合はそうだった」

 それでも、いじめられた経験は「プラスになった」と振り返る歌詞太郎さん。「人の痛みを知ることができたから。僕は人の悪口は言えない。たとえ冗談のつもりでも、言ってはいけないと思うんですよ」

 「心が痛むことを他人にしてはいけないと思えるようになったのは、もしかしたらいじめられた経験があったから。だから今いじめられている人は『次は他の人をいじめよう』とは思ってほしくない。その経験がプラスになるか無駄になるかは自分次第。僕は人に優しくなれた。優しくなると人は、他人から信用されるようになるんですよ」

 つらいことやうまくいかないことがあっても「それは成長するきっかけ」と熱く語りかけます。

中高生らを前に、初めて小学生からの過去を語った歌詞太郎さん

中高生らを前に、初めて小学生からの過去を語った歌詞太郎さん

勘違いで入った「劇団」

 中高生になると、音楽活動との接点がでてきます。幼少期の親の影響でミュージカルが好きだったという歌詞太郎さん。「『劇団四季』が大好きでした。みんな歌がうまくて。僕も歌がうまくなりたくて、劇団に入れば練習できると思ったんです」。

 希望の「劇団」を探し、入所費を「節約」するために、スカウト待ちも経験。見事スカウトされましたが、そこは思い描いていたミュージカル劇団ではなく、俳優の養成所でした。

 「歌が歌えるかと思ったら、発声や体の動きや演技がメインで。『やっちまったな』と思ったけど、講師の人が『声が良い』とすぐに現場で使ってくれた。最初は勘違いで入ったけど、演技もどんどん面白くなった」

 そして演技は「音楽と共通点があった」と語る歌詞太郎さん。それは「芸術=表現すること」だということです。

 ドイツ空軍による無差別爆撃の惨状を描いたピカソの「ゲルニカ」を例に挙げ、「ピカソは伝えたくて伝えたくて仕方がない思いがあったから、あの絵を描いたんだと思う。演技も音楽もそうで、伝えたいものが無かったら何も伝わらない」。そして力強くこう言いました。

 「僕は世の中に対して伝えたいことがある。それが今、原動力になっている」

中高生へ向けて自身の体験を語る歌詞太郎さん

中高生へ向けて自身の体験を語る歌詞太郎さん

だまされて貧乏、でも前向き

 大学に進学すると、本格的にバンドを組んで活動を始めた歌詞太郎さん。しかし、再び想定外のことが起こります。「『デビューさせてやる』という大人たちにだまされて、メンバー5人で大金を取られたんです」。親元を離れ、一人暮らしをしていた歌詞太郎さんは、一気に極貧生活を陥りました。

 家庭教師のアルバイトの給料が出るまでまだ何日もある中で、所持金が7円になったこともあったそうです。ただ、食料がなく空腹の日々を過ごしながらも、「こんな経験なかなかできない。人と違う経験をしたボーカリストは人と違う歌が歌えるはずだ」と前向きに捉えていた歌詞太郎さん。体調を崩したこともありましたが、仲間が助けてくれました。

 「『腹減ってるだろ。ラーメン屋行こうぜ』と言った友達が、ATMでお金を下ろした時に残高が見えたんですよ。そしたら2200円しかなくて。そこから2千円を下ろして、千円貸してくれた。そのお金で食べたラーメンの味は一生忘れません」

 大学卒業とともに苦楽をともにしたバンドは解散してしまいましたが、歌詞太郎さんの音楽への情熱は消えることがありませんでした。「また一から始めよう」。川崎駅前で毎日3~4時間の路上ライブを始めました。

 「立ち止まる人なんてほとんどいなかったけど、とにかく毎日続けて、音楽に対する根性が鍛えられた。今も一緒に演奏しているギタリストの柴田さんと出会ったのも川崎。お客さんは全く増えずに数年間続けたけど、決して無駄ではなかった」

 路上ライブと平行して、ニコニコ動画への投稿を続け、メジャーデビューの夢をつかんだ歌詞太郎さん。「『カリスマ性がない』と言われ続けてきたから、そう言われなくなった今は不思議な気持ち」。それでも、いまだに悩みはあるといいます。

 「今はステージを降りるたびに『もっといいライブをこの次は見せたい』と思う。悩まなかったら人は成長できない」

中高生へ向けて自身の体験を語る歌詞太郎さん

中高生へ向けて自身の体験を語る歌詞太郎さん

夢をつかむために「僕はもがき続ける」

 これまでの体験を語った歌詞太郎さん。最後に「夢との関わり方」について語りました。

 塾講師や家庭教師をしていた時、生徒から聞いた悩みは勉強や進路、将来の夢についてが大半だったそうです。

 「『やりたいことがない』『行きたい学校がない』と悩む生徒たちの相談をたくさん聞いた。夢なんて決まっていない人が大半。でも、周りにせかされて無理に夢を持つ必要はない。歌詞太郎は早くから夢を見つけたけど、見つからなければ見つかるまでもがけばいい。見つからなくてもがくのも、見つけてから僕のようにもがくのも同じ」

 「世間やメディアが押しつける価値観に惑わされず、もがいてほしい」とも語った歌詞太郎さん。「一番いけないのは何もしないこと。『お前はダメだ』と言われても、自分がダメだと思わなければもがけばいい。スタートも限界も決めるのは自分自身だ」

 歌詞太郎さんは今年、のどの手術をすることが決まっています。講演の最後、真剣に聴き入る学生にこう約束しました。

 「僕は音楽が大好きだ。だからこれからももがき続ける」

「周りに惑わされず、もがいてほしい」と熱く語った歌詞太郎さん

「周りに惑わされず、もがいてほしい」と熱く語った歌詞太郎さん

 伊東歌詞太郎(いとう・かしたろう) トレードマークの狐のお面と、抜群の歌唱力を武器に、動画投稿サイトの「歌ってみた」カテゴリーで人気が急上昇。2011年から始めた動画投稿の動画総再生数は5800万回を超える。2014年1stアルバム「一意専心」でメジャーデビュー。17年10月に発売した3rdアルバム「二天一流」がオリコンウィクリー総合チャート9位にランクインした。リリース後に行われた全国ツアーは軒並みSOLD OUT。2018年更なる活躍が見込まれているシンガーソングライターである。

講演会の会場では来場者が歌詞太郎さんへメッセージを寄せた

講演会の会場では来場者が歌詞太郎さんへメッセージを寄せた

「毎日背中を押してくれています」 中高生のカリスマ・伊東歌詞太郎
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