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カタルーニャ、なぜ独立? 「関西が日本から独立」に匹敵する衝撃
スペインのカタルーニャ自治州が独立を宣言しました。日本にたとえれば「関西地方が独立する」というのと同じくらいのインパクトがあります。なぜこんなことが起きたのでしょうか?(朝日新聞国際報道部・神田大介)
カタルーニャはスペインの北東部にあり、人口およそ750万人。スペイン全体(4600万人)の16%にあたります。日本にあてはめると、関西の2府4県が占める割合(1億2600万人中2000万人)とほぼ同じです。
古くは独立した王国で、固有の言語や文化を持ちますが、日本では応仁の乱が起きていた1469年、カステラの語源となったカスティーリャ王国と統一。今のスペインの原形をつくりました。ただ、その後も両国はスペイン国王の世継ぎを巡るスペイン継承戦争(1701-1714)で戦火を交えています。
カタルーニャの中心が州都のバルセロナ(人口160万人)、カスティーリャの中心がスペインの首都・マドリード(人口316万人)。スペインを代表する2都市は、それぞれ「FCバルセロナ」(リオネル・メッシ選手が所属)と「レアル・マドリード」(クリスティアノ・ロナルド選手が所属)という世界を代表するプロサッカーチームを持ち、スペインリーグで覇を競っています。
いわば大阪と東京、タイガースとジャイアンツのような関係というわけです。
独立の是非を問う住民投票があったのは1カ月前の10月1日。ただ、話は突然始まったわけではありません。
以前から「われわれはカスティーリャとは違う」という意識の強かったカタルーニャですが、マドリードの中央政府に対する不満が特に高まったのは2010年ごろ。
2008年にリーマン・ショックが起きて世界の経済が冷え込み、2009年にはギリシャ政府が多額の財政赤字を隠していたことが発覚。スペインの財政も厳しくなり、中央政府は公共事業を止めたり、税金を増やしたりしました。
カタルーニャの人口はスペインの16%ですが、国内総生産(=商売での「儲け」の総額)の19%ほどを稼ぎ出しています。製造業や観光業が盛んで、特に外国への輸出額ではスペイン全体の3割弱を占めています。
いくら稼いでも税金としてマドリードに吸い上げられ、他の地域に回されている。不況の中、そんな反感が強まりました。
イギリスの放送局BBCによると、2014年にカタルーニャが中央政府に支払った税金は、中央政府がカタルーニャのために使ったお金に比べて、100億ユーロ(約1兆3000億円)も高かったそうです。
BBCは今回、「マドリードは泥棒だ」というスローガンが広がったと報じています。
こうした中央政府への不満が、独立運動につながったと見られています。
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