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イスラム国が生まれた理由 切っても切り離せない「アメリカ」の存在
過激派組織「イスラム国」(IS)は、どのようにして生まれたのでしょう? 実は、その誕生にはアメリカが大きく関わっています。イラクで生まれたISが、なぜシリアのパルミラ遺跡を破壊したのか。2001年の同時多発テロからはじまるISの歴史について超解説します。
2001年の同時多発テロ後の2003年、アメリカはイラク戦争を始め、フセイン政権が倒れます。内戦状態になったイラクでは少数派のイスラム教スンニ派の軍の幹部が過激派組織に入り、ISの母体になります。
イラクやシリアで勢力を拡大したISは、2014年、イラク第2の都市モスルを制圧し国家樹立を宣言します。
しかし、アメリカ軍が率いる有志連合の攻撃などで弱体化し、2017年7月、イラク軍などがモスルを奪還しました。
シリアのパルミラ遺跡は、ローマ帝国時代にシルクロードで栄えた都市として知られています。1980年にユネスコの世界遺産に登録されました。
ところが、2011年にシリアで内戦が起きると、イラクなどで勢力を拡大したISが侵出してきて、パルミラを制圧し、神殿などを破壊してしまいます。
その後、シリアのアサド政権軍が、ロシア軍の空爆による支援などを受け、2016年3月、パルミラを奪還しました。
ISは、なぜパルミラ遺跡を破壊したのでしょうか?
ISはイスラム教が禁じる偶像崇拝につながるなどとして、歴史的な建築物や石像を壊しており、その中で、パルミラ遺跡も破壊されました。
破壊行為は組織の求心力を強めるためのアピールという目的もありました。また、文化財を闇のルートで密売し、資金源にしていたという指摘もあります。