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エヴァVR、使徒の強さが容赦ない 大人が叫ぶ「仮想遊園地」の魅力

VRアクティビティ「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」の様子=東京都新宿区、佐藤正人撮影
VRアクティビティ「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」の様子=東京都新宿区、佐藤正人撮影

目次

 「ちょ、ちょ、ちょ待って!」。日本有数の繁華街、歌舞伎町のビルから怪しげな叫び声が聞こえてきます。怪しい場所ではありません。映画館の跡地に開業したVR(仮想現実)施設。ここでは「エヴァ」に乗って使徒とのバトルが体験できます。大の大人を何がこんなに熱狂させるのか。“受動的”だったこれまでのテーマパークと異なる、完全に自分が主人公になれる世界。そんな「バーチャル遊園地」の魅力を体感してきました。
「VR ZONE SHINJUKU」の様子=東京都新宿区、佐藤正人撮影

大の大人がこんなに叫ぶの…?

 今年7月に開業したVR施設「VR ZONE SHINJUKU」(東京都新宿区)。運営はバンダイナムコエンターテインメントで、最新のVR技術を使った16種類のアクティビティを楽しむことができます。9月のある日、訪れてみると、内装にプロジェクションマッピングがふんだんにあしらわれ、近未来的な空間が広がっていました。施設全体が仮想現実のような、不思議な雰囲気。そんな中、遠くから「大人の悲鳴」が聞こえてきます。

 大の大人がこんなに叫ぶの…? 声がする施設の2階に向かっていくと、VRのブースがずらり。人気のVRの前には、前のめりの人々が順番を待っていました。
「VR ZONE SHINJUKU」(東京都新宿区)
「VR ZONE SHINJUKU」(東京都新宿区)

3人のパイロットはどこへ…

 エヴァンゲリオン好きとしては、試さずにいられないのが「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」。今回、施設をオープンするにあたって、新しく公開された6つのVRアクティビティの1つです。

 舞台は史上最強と謳われる第10使徒が襲来した第三新東京市。本来、エヴァに乗るはずの3人のパイロットはなぜか連絡が取れず、代わりに来場者が搭乗して使徒殲滅を目指すいう設定です。エヴァの零号機、初号機、弐号機に乗り込み、3人1組で体験します。
「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」のブース
「エヴァンゲリオン VR The 魂の座」のブース

 まず搭乗前にスタッフの方(おそらく特務機関NERVの方)から説明を受けます。「任務に失敗したら、人類が滅亡してしまう」という設定のもと、口調にも熱が入っています。シンジくんも綾波もアスカも一体どこへ…。

体験前に渡される「使徒殲滅作戦指令書」
体験前に渡される「使徒殲滅作戦指令書」
え、逃げていいの!?
え、逃げていいの!?
 早速エントリープラグ(エヴァのコックピット)を模した装置に乗り込み、ヘッドマウントディスプレイというVRのゴーグルも装着。足を投げ出して座るようになっており、かなりリラックスできる姿勢。昼寝にはちょうど良さそうですが、これから行くのは戦場。14歳でもチルドレンでもない、BMI値高めのただの会社員が使徒となんて戦えるのでしょうか――。
VRの装置。手元にあるレバーでエヴァを操縦します
VRの装置。手元にあるレバーでエヴァを操縦します
 目を開けるとそこは弐号機の中……エヴァとパイロットを接続するための液体「LCL」がエントリープラグ内を満たしていきます。そこで思わず「うわっ」と声が出る――、シンジくんの気持ち、わかってきた気がします。

 「LCL」が顔の高さまで来たときは、思わず息を止めました。様子を撮影した動画を見ると口が完全に開いていたのが間抜けでしたが、注入が完了すると格納庫の景色が広く見えるようになります、「ここが…NERV…!」。
足元からLCLが注入されていきます
足元からLCLが注入されていきます
 エヴァとのシンクロ率の低さをリツコ博士に呆れられつつも、エヴァの拘束具は外されていき、射出口に向かいます。

 ちなみにこのアクティビティ、必ずしも使徒に勝てる訳ではありません。体験した人の話によると、「フィールド上にランダムで現れるN2ミサイル(武器)をちゃんと確保して、かなりがっつり戦わないと勝てない」そうで、いよいよ不安になります。第三新東京市を見下ろしながらミサトさんから褒められるラッキーエンディングを勝手に妄想しながら、闘志を奮い立たせるのでした。
地上へ向かう前、NERVの格納庫の様子
地上へ向かう前、NERVの格納庫の様子 出典: ©カラー ©BANDAI NAMCO Entertainment

使徒…マジで戦いたくない

 射出口に到着すると、両脇には零号機と初号機が…。どちらのエヴァも「逃げちゃダメだ」を自分に言い聞かせるような顔つきをしています。

 そして轟音と振動と共に地上へ! これが本当に怖いです。ものすごいスピードで、未だ見えない史上最強の使徒に向かっていくこの感覚…シンジくんが逃げたくなる気持ちもよくわかるし、なんやかんやでちゃんと戻ってきたシンジくんは偉い、お年玉めっちゃあげたい。
隣には、暗い面持ちのエヴァ初号機
隣には、暗い面持ちのエヴァ初号機
 「お姉さんシンジくんの分も頑張るよ…!」と覚悟を決め地上に出た途端、息つく暇もなく目の前の建物が一瞬で破壊され、そこには使徒が。脳内でイメトレを重ね、ネクストバッターズサークルまできていた私の「メンタル」は、軽快な足取りでベンチに戻ります。
使徒が恐ろしくて近づけないのですが、どんどん盾になる建物が破壊されていきます
使徒が恐ろしくて近づけないのですが、どんどん盾になる建物が破壊されていきます 出典: ©カラー ©BANDAI NAMCO Entertainment
​​​​​​ 「マジで戦いたくない」…怖い…とにかく怖すぎる…そこからは建物に隠れる→建物を破壊されるの繰り返しで、とにかく逃げ回りました。

 使徒を視界のセンターに入れてスイッチするも、「A.T.フィールド」が強すぎてまったく攻撃が効いているように思えません。ミサトさんから何か言われていましたが、恐怖のあまり叫びすぎて、あまり覚えていません。自分がビースト化するかと思いました。

 ……そして気がつくと活動限界になり、そこに待っていたのは敗北でした。

 負けた場合に現れるエンディングがただただ恐ろしいのと、人類を救えなかった虚無感で、体験が終わった後もしばらく放心状態でした。

普通の遊園地は「受動的」、VRは自分が「主体」

 テレビで見て、面白そうだったので夫婦で来場したという女性は、「普通の遊園地のアトラクションは受動的なものが多い。VRは自分が主体なので、緊張感もあって面白い」と話します。

 確かに、エヴァンゲリオンのVRもシンジくんや綾波に「なる」のではなく、自分自身でエヴァを操縦します。なので、最初から強いなんてことはもちろんなく、最強といわれる第10使徒にことごとく負けます。

 遊園地やテーマパークほどの敷地を必要としないのも、VRならでは。映画館「新宿ミラノ座」の跡地、新宿という都心にある同施設は、アクセスしやすいところも魅力です。

 元同僚と遊びに来ていた会社員の女性は、「たまたま新宿で遊びに来ていて、ここの話をしていたら急きょ行くことになった。待機しながら見ていたときはそんなに叫ぶはずないと思ってたのに、すごかった」と興奮気味です。
順番を待つ列。多いときは1時間ほど待つ場合も
順番を待つ列。多いときは1時間ほど待つ場合も

友達の家のようでもある

 4人対戦の「マリオカート アーケードグランプリVR」も施設のオープンに際して開発されました。ヘッドマウントディスプレイにはマイクがついているため、走行中も他の参加者としゃべることができます。

 もしも他のカートを見失ってしまっても、イヤホンから「大丈夫ですかー!」と声が聞こえてきます。視界はゲームの中そのものですが、友達の家でみんなでテレビゲームをやっている感覚に近いです。
「マリオカート アーケードグランプリVR」では、運転しながら手でアイテムをゲットします
「マリオカート アーケードグランプリVR」では、運転しながら手でアイテムをゲットします
 運営するバンダイナムコエンターテインメントの広報担当者によると、ゲームへの没入感はもちろんのこと、「一緒に来た人とコミュニケーションがとれること」が強みだといいます。

 「お化け屋敷のアクティビティもあるのですが、1人で体験するよりも、他の人の叫び声が聞こえることで更に怖くなって、没入感も増します。これまでさまざまなVRを開発したり、お客様の反応を見たりしてきた中で気付いた『発見』でした」。

 「VR ZONE SHINJUKU」の開業に際して新しく開発した6種類のVRも、協力したり、競争したり、複数人で楽しめるコンテンツを採用したそうです。アーケードゲーム機などを手がけてきた同社ですが、「共感性」を重視することで、普段ゲームセンターなどに行かない層を取り込むねらいもあるといいます。
プロジェクションマッピングが投影されたボルダリング「トラップクライミング」も人気。壁が動いているように見えます
プロジェクションマッピングが投影されたボルダリング「トラップクライミング」も人気。壁が動いているように見えます
 今年の夏ははっきりしない天気が続きましたが、「屋内施設のため天候不良もプラスに影響し、たくさんの方に来場いただいた」そうです。 

 年中無休で、営業時間は午前10時~午後10時。入場は時間帯指定の予約制で、入場料と4種類のVRチケットのセットで4,400円ですが、入場券とチケットを個別に購入することもできるそうです。13歳未満はVRアクティビティを体験できません。詳しくは「VR ZONE SHINJUKU」のWEBサイトでご確認ください。

 「テーマパークに行きたいけど、屋外で並ぶのはちょっと…」という方、「バーチャル遊園地」に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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