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2017年09月02日

5歳児の工作が百億円!話題のECサイト 息子の成長を見守る父の愛

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「5歳児が値段を決める美術館」で「9億7万8千円」の値がついているディラノサウルス

「5歳児が値段を決める美術館」で「9億7万8千円」の値がついているディラノサウルス

出典: 株式会社ブルーパドル提供

 5歳の子どもが作った工作や絵を、作った本人が決めた値段で販売するECサイト「5歳児が値段を決める美術館」が話題です。折り紙で作られた「アルゼンチノサウルス」の値段は破格の百億円。あまりにも高すぎる…一体どういうこと? サイトを運営しているのは、この「5歳児」のお父さん。これまでも「息子シリーズ」として、子どもの成長過程を作品として表現してきました。

ティラノサウルス、9億7万8千円

 「5歳児が値段を決める美術館」というWEBサイト、スケッチブックやコピー用紙に描かれた絵や、折り紙や厚紙で作られたカラフルな立体工作の画像がずらりと並びます。

 SNSでもよく見かける「子どもが作った工作」の写真投稿かと思うと、明らかに異なる点が。このサイト、子どもが決めた値段で作品を販売しているECサイトなのです。

8月30日に公開された「5歳児が値段を決める美術館」

8月30日に公開された「5歳児が値段を決める美術館」

出典:株式会社ブルーパドル提供

このサイトは、とある1人の子供が4歳から5歳にかけて作ってきた作品の一部を販売する「ECサイト」です。

出典:5歳児が値段を決める美術館

ここでは実際に5歳児自身に「作品名・コメント・値段」を全て決めてもらいました。

出典:5歳児が値段を決める美術館

 クレヨンで描かれたティラノサウルスは「9億7万8千円」、厚紙でできた恐竜のような「メガファイヤーガドン」は「1億数千万円」……値段が破天荒すぎる思っていたら、「あかとみどりのしゅりけん」は「50円」。思わず脱力します。

 中には「無量大数円」や「不可説不可説転円」、「3千ジジイ円」など、奇想天外な値段の作品も。値段の表記としておかしいものや、1億円を超える作品以外はサイト上で実際に購入することができます。

「無量大数円」や「不可説不可説転円」の作品

「無量大数円」や「不可説不可説転円」の作品

出典:5歳児が値段を決める美術館

 8月30日に公開されてから、ツイッターで「おもしろい」と話題に。「(子どもは)ルールに縛られないから、発想は無限大」「優しいインターネット」とワクワクした大人たちの声が集まっています。

「子どもの成長記録として」

 サイトを運営しているのは、デジタルコンテンツの企画制作をしている株式会社ブルーパドル代表の佐藤ねじさん(34)。

 アートディレクターとして、「劣化するWEB」や「泣くWEB」など、ネット空間に新しい体験を生むコンテンツを送り出してきました。

「5歳児が値段を決める美術館」を制作した佐藤ねじさん

「5歳児が値段を決める美術館」を制作した佐藤ねじさん

出典:株式会社ブルーパドル提供

 今回の「5歳児が値段を決める美術館」は、佐藤さんの息子さんが「その年齢でできること」と「テクノロジー」を組み合わせたプロジェクト「息子シリーズ」の5作目です。これまで0歳から3歳まで、それぞれの年で1作品ずつ制作してきました。

 例えば、3歳のときはスマホで写真を撮る量が増えました。2015年に制作された作品「3歳の写真家」は、そんな息子さんが撮影した写真を集めた無料写真サイトです。

「息子シリーズ」の4作目「3歳の写真家」

「息子シリーズ」の4作目「3歳の写真家」

出典:3歳の写真家

 スマホを撮影する息子さんの様子と、実際に撮影された写真を同期的に組み合わせた動画は、「子どもがそのときどんな景色を見ていたか」を臨場感たっぷりに知ることができます。

 「息子シリーズ」を「成長を記録するホームビデオのようなもの」と話す佐藤さん。
 
 「子どもって0歳のときはすごく弱々しいんです。だけど、年をとるごとにどんどんスキルを身につけていくんですね。しゃべるようになったかと思えば、すごく口が立つようになったり」

 「自分は普段から面白いものを作ろうと思っているが、子どもの行動や感性の方がよっぽど面白いときがある」といいます。

「コロコロはしるなんかよくわからないきもちわるいぶったい。」の「コロちゃん」。175円ですが、「なくした/こわれた」ため販売はしていません。

「コロコロはしるなんかよくわからないきもちわるいぶったい。」の「コロちゃん」。175円ですが、「なくした/こわれた」ため販売はしていません。

出典:5歳児が値段を決める美術館

 息子さんの成長をデジタルコンテンツと組み合わせて記録することで、「自分がものをつくる時間と、家族の時間がうまくつながった」と話します。

絵、工作…在庫がたまっていく

 「5歳児が値段を決める美術館」を制作したのは、息子さんが絵を描いたり工作をするようになって感じたある「悩み」があったからでした。

 「たくさん作るので、だんだん在庫がたまってきたんです。とても尊い作品ばかりなのですが、どこかのタイミングで捨てなければならなくなります。保存方法をどうしようかと……」

「百億円」という「アルゼンチノサウルス」。恐竜好きだということもあり、説明も詳しい。

「百億円」という「アルゼンチノサウルス」。恐竜好きだということもあり、説明も詳しい。

出典:5歳児が値段を決める美術館

 そんな佐藤さんが思いついたのは、現代アートなどの美術品のアーカイブでした。

 「美術品って誰かが買って、コレクションとして長い間保管します。アートとは程遠い子どもの工作ですが、同じように保存できたら面白いと思いました」

 佐藤さんの自宅では、お気に入りの作品は本当の美術館のようにキャプションをつけて飾っているそうです。

佐藤さんの自宅。右の壁にはキャプションつきの作品たち。真ん中の段ボールの家も息子さんの手作りで、カーテンはおもちゃ作家である奥様が息子さんの絵をプリントしたとのこと。

佐藤さんの自宅。右の壁にはキャプションつきの作品たち。真ん中の段ボールの家も息子さんの手作りで、カーテンはおもちゃ作家である奥様が息子さんの絵をプリントしたとのこと。

出典: 佐藤ねじさん提供

 作った本人が値段をつけることについても、「ノリで決めているときもあるけど、彼の中でルールがあるみたいです」と話します。

 「しゅりけん」など簡単に作れるものは安く、頑張って作った思い入れのあるものは高くなっているそうです。

 「美術品もよく何億円っていう作品がありますが、実際ものの価値ってよくわからないこともありますよね。それに近いところもあれば、大人では常識的に考えてしまうところを、子どもは自分の中にこそ価値を決める軸を持っているんだなって」

 実際に値段をつけている様子はサイト内で動画で紹介されています。

コメントにも強いこだわりが

 作品につけられているコメントも、息子さんが言った内容を厳密に入力しているそうです。というのも、入力している横で句読点の場所や「ここは漢字にして」と、細かい指示が出るのだとか。

 何行もみっちりと書かれているコメントもあれば、「うまいさかな。」「ばかやろう。」など短文のものもあり、「やっぱり集中力が切れてしまうので、コメントをもらうのは1日に3~4個が限度です」。

「フレングエリサウルスが、サウロスクスをねらっているところ」は何行もコメントが書いてあるのに対し、「ぼくがのっているジジイのティラノサウルス」は「ばかやろう。」のみ

「フレングエリサウルスが、サウロスクスをねらっているところ」は何行もコメントが書いてあるのに対し、「ぼくがのっているジジイのティラノサウルス」は「ばかやろう。」のみ

出典:5歳児が値段を決める美術館

 そんな息子さん、値段の表記にも子どもならではの発想がありました。

 「『よんせんななひゃくえん』と言われて、『4千7百円』を入れたら『違う』と……」

 「4000」と「700」をくっつけて「4000700円」にしてほしいと言われたそうです。

 「まだ買える値段だったのが、急に高騰しちゃいました」と笑う佐藤さん。

不思議な値段設定にはそんな意味があったのか…

不思議な値段設定にはそんな意味があったのか…

出典:5歳児が値段を決める美術館

 すでにいくつかの作品は売れており、それを息子さんに伝えると喜んでいたといいます。これから梱包作業が始まるそうで、「どんな風にして送ろうか」と作戦を考えているとのこと。

 ちなみに販売で得たお金は、息子さんのために貯金しますが、まずは欲しがっていた漫画を買う予定だそうです。

「息子シリーズ」ずっと続けたい

 販売されている作品は息子さんが4~5歳の時に作られたものです。作品はその時々にハマっているものに影響されるといいます。

 「4歳のときに作った作品は宇宙ものが多いですね。5歳のときは恐竜や生き物が中心で、6歳になる直前はポケモンです。興味がなくなってしまうと、そのテーマでは描かなくなりますね。たぶん、宇宙の作品ももう作れないんじゃないかな」

これまでの「息子シリーズ」

これまでの「息子シリーズ」

出典:5歳児が値段を決める美術館

 現在、息子さんは6歳になりました。佐藤さんは「息子シリーズ」を「ずっと続けていきたい」と話します。

 「反抗期に入ったら、嫌がってやってくれなくなるでしょうね。コンテンツにならない時期もあっていいと思うんです。でもまた年を取ったら相手してくれるようになったりして、そうやって一連の長い作品にしたいです」

 「5歳児が値段を決める美術館」はおもしろコンテンツだけではなく、子どもの成長を記録する、家族のアルバムの1ページでした。

5歳児が値段を決めた作品の数々…50円から「不可説不可説転円」も
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