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【1分で超解説】野党って何? 時代によって全然、違う「役割」
野党って何だろう? とにかく反対すればいいの? 文句ばっかり言っていないで対案も出さないとダメ? 究極の目的は選挙に勝って政権交代すること? 実はこれ全部、日本の野党がたどってきた道なんです。時代によって変化してきた野党の役割を超解説します。
解説するのは朝日新聞政治部の松村愛デスクです。
もっとも多くの国会議員を擁し、政権を担当している政党が「与党」。それ以外の政党が「野党」と呼ばれます。
時の政権が偏りのない行政を行っているかどうかチェックし、批判を加えるのが野党の大きな役割です。
場合によっては、対案を出して議論を戦わせることで、よりよい方向に法案などを修正させることも求められています。
日本の政界を見てみると、野党の役割が、実は時代によって変化していることがわかります。同じ野党でも、時代によっては全然、違う存在だったのです。
「万年野党」
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「是々非々」
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「政治改革」
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「政権交代」
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「受け皿(を期待)」※いまここ
時代ごとの特徴を詳しく見ていきます。
1955年から始まる「55年体制」と呼ばれる時代は、政権を握り続ける自民党と、政権交代を前提としない万年野党の旧社会党という構図。「改憲派」と「護憲派」という立場で対立を繰り広げました。
1960年、「是々非々」の動きが生まれます。何でも反対するのではなく、納得できるものは野党であっても与党の方針に賛成するべきだ、という考えです。
この立場に立ったのが、旧社会党から1960年に分裂した旧民社党でした。
1993年、自民党副総裁だった金丸信氏の脱税事件など自民党の金権政治への疑惑が最高潮に達します。その結果、自民党幹事長も務めた小沢一郎氏らが自民党を離党し、新生党を立ち上げ。7月の衆院選で自民党は過半数割れに追い込まれます。小沢氏の主導で、「政治改革」をうたった非自民の8政党による細川連立政権が誕生。38年続いた自民党の一党支配が終わりました。
金権政治の温床となった中選挙区制をあらためて政治を刷新しようと、このとき小選挙区制も導入されました。時の民意によって選挙区の勝敗が大きく動くことになり、後の二大政党制につながっていきます。2009年の衆院選で「政権交代」を掲げた民主党政権が誕生。日本政治で初めて選挙による政権交代が実現し、自民党は再び野党に転落。しかし、その民主党政権も3年余りしか続きませんでした。
2017年の今、野党に期待されているのが「受け皿」です。
与党の自民党は衆院、参院とも3分の2を超す勢力を持っています。それでも、与党による政権運営が民意をうまく反映できなければ、いつでも、もう一方の野党が代わって政権を担うという態勢が二大政党制です。
しかし、政権運営に失敗して自民党に敗れた民主党は分裂。現在は野党第1党の民進党を含め中小サイズの野党(小さな受け皿)が乱立している状態になっています。
野党の受け皿が小さいと、与党への不満が生まれても、選挙の票が1つの野党に集まらず分散して「取りこぼし」が起きます。2012年の衆院選以降の国政選挙で自民党が圧勝し、安倍晋三首相の「1強」を招く要因ともなってきました。「政権交代」に代わる野党らしいキャッチフレーズも、選挙で「非自民」の象徴となるようなカリスマ党首も現れず、なかなか事態は動きませんでした。
安倍内閣の支持率にかげりが見え始めたいま、民進党が「核」になって大きな野党(大きな受け皿)にまとまっていくのか、はたまた次の衆院選までにふたたび野党再編が起きて新しい受け皿ができるのか。注目されています。