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ブスの極み乙女… 子育て自虐エッセイ作者「ママになっても私は私」

子育て中の自分の姿を、自虐的なイラストとユーモアあふれるセリフで綴ったエッセイが話題になっています。

今回の取材の後、ヤマダさんが描き下ろしたイラスト
今回の取材の後、ヤマダさんが描き下ろしたイラスト

目次

【ネットの話題、ファクトチェック】

 「ブスの極み乙女(色気と恥じらい、両成敗が止まらない)」――。子育て中の自分の姿を、自虐的なイラストとユーモアあふれるセリフで綴ったエッセイが話題になっています。

 作者は、会社員として働くヤマダモモコさん(32)。育休中の日々で感じたことをインスタグラムに投稿したもので、本も出版されて発売から約1カ月で5刷と人気です。理想のママ像と一線を画し、子どもではなく「自分が主人公」という視点で描いた内容が共感を集めています。復職したばかりのヤマダさんに話を聞きました。

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人気バンド「ゲスの極み乙女。」をもじってます
人気バンド「ゲスの極み乙女。」をもじってます 出典: 三才ブックス提供

モモコデラックス、怒り心頭


 テレビでおなじみのマツコ・デラックスさんに似た女性が描かれたイラスト。横には「久々の外出 夫に『マツコ意識?』と言われる」の文字があり、隣のページには「モモコデラックス、怒り心頭」とコメントが記されています。

 子どもを抱っこしているヤマダさんに対して、夫がDAIGOさん風に「K(毛を)S(処理して)K(ください)」と語りかけると、「H(ほんと)I(いつもごめん)」と答えるイラスト。隣のページには「マキシマムザ男性ホルモン」と書かれています。

 これらは、先日出版されたヤマダさんの著書「色気は分娩台に置いてきました。」(三才ブックス)の一コマです。

 「昨年4月に出産して、2カ月後の6月からインスタグラムに投稿を続けていたら、『本にしましょう』と声をかけていただきました。もともとはビジネス手帳に絵日記風に描いていたもので、夫に見せたら面白がってくれて『せっかくだからインスタに投稿したら』と言われてスタートしたんです」とヤマダさんは言います。

書籍「色気は分娩台に置いてきました。」
書籍「色気は分娩台に置いてきました。」

ブルゾンちえみネタも


 先ほど挙げた以外にも、ブルゾンちえみさんのネタや「踊る大捜査線」の名ゼリフなども登場します。

 「育休中はテレビを見る機会が多く、つい頭に入っちゃうんです。歌も、最近のものから懐かしいものまで、ついつい口ずさんじゃうので、どうにか使いたいなと」

 インスタグラムに投稿する際のハッシュタグは、当初「#まいにちモモコ」でした。松岡修造さんの日めくりカレンダー「まいにち、修造!」を意識しながら、自虐的なネタからスタート。

 「変なママがいるよ、と思ってもらえれば」という程度で始めたところ、「ヤマダさん、わかります!」「私が書いたみたい。もしかして私はモモコ?」といった共感の声が寄せられたそうです。

 「育児で家にこもりきりの生活をしていると、自分の時間はないし、毎日同じことのくり返しでどんどんネガティブになっていってました。なので、そんな日々を笑いの方に持って行こうかなと。それで私自身が救われる気がしました」

 身近なママ友は、子どもを産んでからの知り合いが多く、なかなか赤裸々な話はしにくい。昔から知り合いで仲の良いママ友は、遠くに住んでいてなかなか会えない。そんななか、「リアルすぎて聞きにくい悩み」をインスタに投稿したところ、本音の回答が続々寄せられたそうです。

 「会ったことはなくても、まさに『戦友』。そんなつながりになりました」

児童館デビューに失敗した時の様子を描いたイラスト
児童館デビューに失敗した時の様子を描いたイラスト 出典: 三才ブックス

編集者から見たヤマダさんとは


 出版の話を持ちかけた、三才ブックスの企画編集部編集長・槻真悟さんは、ヤマダさんのエッセイの特徴について、こう説明します。

 「子育てに関するインスタは、ほとんどが『子どもの日常に焦点を当てた内容』です。そんな中でヤマダさんは、子育てに奮闘する自分自身を客観的に描いていて、他とは違うなと感じました」

 また、インスタやブログ発の本は、専業主婦が多い印象を持っていたという槻さん。「ヤマダさんは『キャリアウーマン』。育休中にインスタを始めて、1年後に書籍を出し、復職するというストーリーも魅力的でした」と話します。

 この点について、ヤマダさんは照れ笑いしながら「自分のことを描くのが大好きなんです。『オレがオレが』みたいで恐縮ですが……」

 高校時代につくったという、バンド活動のメンバー紹介用冊子を見せてもらうと、本に登場するヤマダさんの自画像と同じイラストがありました。

 また、自身の結婚式に合わせて制作した冊子「mon-mo」(女性誌「non-no」を意識)には、「花嫁モモコの作り方」「今なりたい顔No1」「アラサー女子だって一生オンナノコ宣言!」といった、インスタ投稿の文章に通じるセンスも感じられます。

 こうした過去の経験を生かして、今回の本では書籍タイトルやイラスト選び、並び順やレイアウトなどもヤマダさんが手がけたそうです。

ヤマダさんが手帳に描いていたイラスト。インスタ投稿や本のベースになっている
ヤマダさんが手帳に描いていたイラスト。インスタ投稿や本のベースになっている

子育て世代へメッセージ


 復職してまもなく1カ月になるヤマダさん。育休中は2~3日に1本のペースで投稿していたのが、最近では週に1~2回に減ったそうです。

 「夜は寝落ちしてしまうことが多いです。仕事と育児で時間に追われるようになり、体力よりも気持ちの方がしんどいですね」

 出産前後の変化については「言われて気づいたんですが、産む前はイラストにまつ毛があったのに、なくなってました。あとはヒゲが増えました」。

 そんなヤマダさんに、同じ子育て世代へのメッセージをお願いしたところ、こんな答えが返ってきました。

 「私は理想のママ像に追われて、よく自分を追い詰めてしまいます。全部を求めてしまいがちですが、ママになった途端にスーパーママになれるなら、きっとその前からなれているはず。自分の得意なこと、出来ることで子どもと向き合えていれば、それで100点!って、ちゃんと自分を認めてあげたい。私たちは、もう充分すぎるくらい頑張っています。私のエッセイを読んで、『私と一緒だ』『ありのママでいいんだ』なんて安心してもらえたらうれしいです」

 ◇ ◇ ◇

 「色気は分娩台に置いてきました。」は税別925円。増刷を重ねて現在5刷が決まり、累計23000部に。書籍化にあたって新たにイラストを描き下ろしていて、全体の半分ほどが新作です。イラストへの見出しコメントや、コラムも収録されています。

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