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2017年05月19日

『きっと、うまくいく』 ー遠くから見ると喜劇ー

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出典: Plus-handicap

 皆様はじめまして。この記事からライターとして参加することになった新名庸生です。最近あるいは過去に観た映画を題材に、記事を書いていければと思っています。

『きっと、うまくいく』(2009)



【ストーリー】(公式サイトより)
 舞台は日の出の勢いで躍進するインドの未来を担うエリート軍団を輩出する、超難関理系大学ICE。未来のエンジニアを目指す若き天才が競い合うキャンパスで、型破りな自由人のランチョー、機械よりも動物が大好きなファラン、なんでも神頼みの苦学生ラージューの“三バカトリオ”が、鬼学長を激怒させるハチャメチャ珍騒動を巻き起こす。

 彼らの合言葉は
 「きっと、うまくいく!!」

 抱腹絶倒の学園コメディに見せかけつつ、行方不明になったランチョーを探すミステリー仕立ての”10年後”が同時進行。その根底に流れているのは、学歴競争が加熱するインドの教育問題に一石を投じて、真に”今を生きる”ことの素晴らしさを問いかける万国普遍のテーマなのだ。

 『きっと、うまくいく』という楽天的な邦題や、少しおどけた感じの予告やストーリー紹介から、予定調和的でありがちなストーリーなのかと思ってしまいますが、実際は、誰しもが直面したことがあるであろう社会的重圧の中で必死に生き抜こうとする学生たちの姿が描かれており、人生において本当に大切なことを示唆してくれる映画になっています。日本ではそこまでポピュラーではないボリウッド映画でかつ171分という長尺であるにもかかわらず、多くの観客から高評価を得ています。

 私自身、ここに出てくる学生たちと近い経験をしており、24歳の頃に深刻な鬱に嵌りました。学部時代にコンピュータに興味を持ち、より専門的な勉強をしたいと思って大学院へ進学しましたが、学部と院とでかなりの飛躍があったこと、周りの人達との知識量の差、大学デビューするやつらを見下していたのでサークルなどには入っておらず、悩みを話せる友達もいなかったことなどが原因で今まで経験したことのない気分の落ち込みを感じるようになりました。

 夏の終わりというただでさえ寂しさを感じる季節になって、バイト中に突然「このままだと確実に近いうちに死ぬ」と直感し、精神科へ直行しました。薬の処方も受けましたがなかなか改善せず、授業中もじっと座っておくことが困難になってきました。突然襲ってくる不安、絶望、後悔という精神的な苦しみに加え、頭が鉛のように重いという物理的な苦しみがひどく、このままこの苦痛に耐えるなら死んだほうがマシだと本当に思いました。

 ただ、なんとか思いとどまり「死ぬのはいつでもできるから、この先どうなるかわからないけれど、とりあえず一年間は生きてみよう。一年後、何も変わっていなければその時死のう」と考え、ひたすら時間が過ぎるのを待って生活していました。季節が変わり、就職活動の時期が訪れ、形だけでも説明会に行ってみたりエントリーシートを書いたりしてるうちに不思議と徐々に精神的な健康が訪れるようになりました。他に打ち込めることができたことが特効薬になったようです。

 私もそうでしたが、専門的なことを孤独にやり続けようとする学生の中には精神的な健康を失う人たちも多く、自ら命を絶つケースも少なくないようです。日本に限ったことではなく、インドでも深刻な問題になっていることをこの映画で知りました。専門性を高めていくと、自分はこの道以外では生きていけないんだといつの間にか思い込んでいってしまうようです。

 「人生は近くから見ると悲劇だが、遠くから見ると喜劇だ」というチャップリンの言葉があります。過ぎてみるとたいていのことは、色々ある人生の出来事のひとつ、という感じに客観的に見れるようになりますが、自分が今生きている「現在」を客観的に見るのはなかなか難しいと思います。もし、他人を見るように自分を見れれば、深刻に悩んでいることが意外とどうでもいいことだったり、ほかにも選択肢がたくさんあることに気付けたりするように思います。

 世の中には数えきれないほどの映画があり、その多くが何らかの形で人の生き様を描いていると思います。ライムスターの宇多丸さんも言っていましたが、映画を観れば観るほど自分の人生も数多くの映画のひとつであるかのように客観的に感じられるようになるという点に映画の効能があるのではないかと思っています。


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