コラム
娘の気持ちも「忖度」してよ……ねぇママ! 漫画家夫婦が描く
漫画家夫婦の横山了一さんと加藤マユミさんが「忖度」について夫婦で描きました。

「ママは忖度(そんたく)もできないんだねぇ……」。ツイッターに投稿した漫画「戦国コミケ」が話題になった漫画家・横山了一さんと、「発酵かあさん」で知られる妻で漫画家の加藤マユミさんが、「忖度」について夫婦で描きました。

「(役人が)忖度をしたということでしょう」。
3月23日にあった日本外国特派員協会での会見。国有地売却に絡む質問に学園の籠池泰典氏がそう答えると、通訳は「read between the lines(行間を読む)」と忖度を英訳しました。しかし、籠池氏の弁護士らとやり取りした後に、「英語で直接言い換える言葉はない」としてこう言いました。
「sontaku(忖度)」

学園が建設予定だった小学校の名誉校長に、安倍晋三首相の妻・昭恵氏が就任していた時期。国有地について籠池氏から要望を受けた首相夫人付の政府職員が、財務省に問い合わせた結果を籠池氏に報告する内容でした。
野党側が「夫人付(職員)が動いたことは非常に大きなこと。忖度が働いても仕方がない状況がある」として政府への追及を強めたのに対し、安倍首相は「籠池氏側の要望にそういうことはできないときっぱりお断りをしたと承知しており、ゼロ回答で、忖度していないことは明らか」と答えました。

先日掲載された朝日新聞の記事で、甲南大学の阿部真大准教授(社会学)は「忖度文化は、社会が同一の価値観で動いていた時代には効率的に働いたシステム」とした上で、こう答えています。
「考え方が多様化した現代では、忖度が前提の『言わなくてもわかるでしょ』という道理は通じない。霞が関や永田町などムラ社会の色が濃いところにしか残っていないのではないか」

【夫・横山了一】 漫画家。育児漫画「息子の俺への態度が基本的にヒドイので漫画にしてみました」(リイド社)や、北海道&関西エッセイ漫画「北のダンナと西のヨメ」(飛鳥新社)などが主な著作
【妻・加藤マユミ】 二児の母でもある漫画家。主な著作は、自家製発酵食品について描いた「発酵かあさん」(リイド社)や、出版社擬人化コメディ「飯田橋のふたばちゃん」(双葉社)など