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誰に対しても当てはまる! 札幌市の発達障害「虎の巻」が話題に

発達障害のある人たちが一緒に働く職場で、お互いが心がけるべきポイントを漫画で解説した冊子が、ネット上で注目を集めています。

職場で使える「虎の巻」の一場面
職場で使える「虎の巻」の一場面 出典: 札幌市のホームページより

目次

【ネットの話題、ファクトチェック】

 「期限は正確に」「しっかり優先順位を」――。発達障害のある人たちが一緒に働く職場で、お互いが心がけるべきポイントをイラストで解説した冊子が、ネット上で注目を集めています。「誰に対しても当てはまる」といった声も上がってるこの冊子について、発行元の札幌市に聞きました。

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職場で使える「虎の巻」の一場面
職場で使える「虎の巻」の一場面 出典: 札幌市のホームページより

発達障害とは


 発達障害は、生まれながらの脳の機能障害が原因とされています。意思疎通が苦手な自閉症などの「広汎性発達障害」、読み書きなど特定の事柄に困難を抱える「学習障害(LD)」、落ち着きがないといった特徴を持つ「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」などの総称です。

 札幌市の障がい福祉課が発行している「虎の巻シリーズ」。わかりづらいといわれる発達障害の特性や、家族や周りの人たちとの間で起こりがちな思いの違いや対応法などを、イラストを用いて伝えた冊子です。

 平成22年3月に職場編が発行され、その後、学校編や子育て編なども出て計5冊に。札幌市のホームページでも見ることができます。

職場で使える「虎の巻」の一場面
職場で使える「虎の巻」の一場面 出典: 札幌市のホームページより

パン作りを例に


 職場編では、虎夫さんのパン作りの例を紹介。先輩から「適当にクリーム塗っといて」と指示されて作業したところ、塗りすぎて注意を受けてしまいます。

 「クリームをあんなに塗るなんて『普通に考えて』ありえない」という先輩と、「『どれくらい』塗るかおしえてくれなかったのに」と感じている虎夫さん。

 その後、先輩が手本を見せながら作ることに。先輩が作業しながら「こうやって塗ってください」と伝えると、虎夫さんは正確かつきれいに塗れるようになり、褒められるという内容です。

 他にも「手順が決まれば効率アップ」「期限がわかれば集中力倍増」「聞く人決まれば迷わない」といった例が掲載されています。

 「世界自閉症啓発デー」の今月2日、この内容がツイッターで紹介されると拡散。「発達障害に優しい対応はみんなに優しいと思う」といった「誰に対しても当てはまる」との声が多く上がり、リツイートは3万9千を超えています。

職場で使える「虎の巻」の一場面
職場で使える「虎の巻」の一場面 出典: 札幌市のホームページより

心がけた点は


 この冊子について、障がい福祉課の担当者はこう説明します。

 「凸凹のへこんでいるところばかりを強調すると、悪い方に理解されてしまいます。いい方を活かせれば、お互いにとってこんな結果が生まれるんだということが伝わるように心がけました」

 当事者と周囲の考え方のギャップを描くことで、両方の立場から考えることができるような構成に。ただし、紹介した事例はあくまで一例。すべてのケースに当てはまるわけではなく、「考えるきっかけとして参考にしてほしい」とのこと。

 ネットで話題になったことについては、「驚いていますが、全国的に広がることで、市民の方々の理解も深まれば」と期待をかけます。

 今後については、「職場編からどんどん年齢をさかのぼりながら、子育て編まできて一区切りしたところ。新しいテーマがあれば検討したいです」と話しています。

 ◇ ◇ ◇

 冊子は市民以外には配布していないそうです。欲しい方はホームページからPDF形式でダウンロードできますので、こちからどうぞ。

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