IT・科学
行楽さんからの取材リクエスト
最近の天気予報、外れ多くないですか?
天気予報、はずれ多くない?「お恥ずかしい…」 スパコン狂わす犯人
最近の天気予報、外れ多くないですか? 行楽
行楽シーズン到来。お出かけの予定を立てるのに気になるのは天気です。ただ最近、「天気予報があたらない」と感じたことはありませんでしたか?民間の気象情報会社「ウェザーニューズ」の気象予報士、森田清輝さん(60)に事情を聴きました。(朝日新聞社会部記者・伊藤和行)
――今年の天気は予想しづらいですか?
「たしかに9月の天気予報はあまりあたりませんでした。お恥ずかしい限りです」
――なぜ難しかったのでしょう?
「8月以降、台風の上陸ペースが早く、異常気象だったのが一因でしょう。いまの天気予報は、各地の気圧、気温、降水量などの気象情報をスーパーコンピューターに集めて計算した情報が元となっています。1時間後でも1週間後でも、コンピューターが出した数値を気象予報士が読みとって予報します」
「ただ、コンピューターには誤差があり、季節ごとの傾向も反映するようプログラムされているので、異常気象の時期は予報が苦手なんです」
――プログラムとは?
「例えば9、10月は例年、『秋晴れ』と言われる日があるように晴天が多い季節です。過去のデータも集積されているコンピューターは、例年と大きなずれがあると『いつもと違う』と感じて修正するようプログラムされているのです」
「しかし今年は台風が相次いで日本列島を襲い、コンピューターが雨の原因を計算しきれなかったのでしょう」
――気象予報士の判断はあまり反映されないのですか?
「もちろんデータを読んだ上で、知識と経験を生かして判断するのが気象予報士の腕の見せどころです。地形のでこぼこが与える影響を考えたり、現時点の気圧や降水量などのデータを読んで予報を『曇り』とするか『雨』とするかという判断をしたりします」
「コンピューターの『くせ』を読み解き実態を反映させ、みなさんに解説するのが大事な仕事です。ただ、これまではほとんどをコンピューターに頼っているのが実際でした」
――コンピューターの方が正確というわけですね。
「予報に不可欠な情報量と計算スピードの早さは圧倒的です。コンピューターによる天気予報が実用的になったのは1990年代以降です」
「それ以前は、もっぱら人間の手で天気図をつくり、予報を出していました。経験だけでなく勘によるところも大きかったため、それほど確率は高くなかった。予報が当たる確率が高いのも2日後まででした。いまのコンピューターは10日後ぐらいまでなら高い確率で予想できます」
――ところで、新聞やテレビの天気予報を見ているとメディアによって予報が違う時があります。なぜですか?
「各メディアへ情報を提供する会社が違うからです。現在、気象庁から許可をうけて気象予報をする民間の事業者は約60あります。各メディアは、それら事業者と独自に提携して配信しているのです」
――ウェザーニューズはどのように予報を出していますか?
「コンピューターに頼らないでも正確な予報ができるよう、全国の約1万2千地点に観測器を設置しています。また、全国の会員がその時点の気象情報を寄せるネットワークをつくり、1日あたり平均13万人が送ってくれています。情報が多いほど正確な天気を予報できるため、『みんなとつくる天気予報』を目指しています」
――天気予報の確率をあげるため、日々努力されているのですね。
「一般の方だけでなく、船舶や航空など、天気の影響が仕事に直結する産業はたくさんあります。天気に関心を持つ人が増えてもらえるとうれしいです」
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