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じいちゃんの「虹色ろうそく」、偶然重なり拡散 孫娘のつぶやき一役
金沢市にある小さな町工場。そこで生まれた「虹色に燃えるろうそく」が注目を集めています。
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金沢市にある小さな町工場。そこで生まれた「虹色に燃えるろうそく」が注目を集めています。
金沢市にある小さな町工場。そこで生まれた「虹色に燃えるろうそく」が注目を集めています。数年前に商品化され、特許も取っていますが、生産量が少ないこともあって知名度はいまひとつでした。それが、土産物店に置かれていた商品を見た人が画像をツイッターに投稿すると、制作者の孫娘のタイムラインに偶然流れてきて「これ私の祖父なんです」とつぶやき、元のツイートは拡散を続けています。経緯を聞きました。
18日、ツイッターに投稿された虹色に燃える炎の画像。「特許もとっているけど、宣伝費がなくてあんまり宣伝できないんだとか」との文言が添えられています。このつぶやきに対するリツイートは2万5千を超え、ツイッターのまとめページも立ち上がっています。
この投稿を19日朝、制作者の孫で大学生の松平美鈴さん(20)が発見。友人がリツイートしたのが偶然タイムラインに流れてきたそうで、すぐにこうつぶやきました。
「突然のリプすみません! たまたま回ってきたのですが、これ私の祖父なんです たくさんリツイートもされていて驚きました…!! 目に留めてくださってありがとうございます」
美鈴さんはその後も、どこで買えるのかといった問い合わせに対して「金沢市の忍者寺近くで、不定期だけども土、日に実演販売してる」と答えたり、「まだまだ開発段階のとき、叔父さんの結婚式で使って火事になりかけたのが懐かしい」と開発秘話を披露したり。
「このチャンスを生かしたいけど どうすればたくさんの人に見てもらえるんだろうね」とつぶやきながら、祖父のつくった商品を必死にPRしています。
話題になっているこの商品の名前は「レインボーキャンドル」。制作者は、金沢市で鉄工所を営む松平寛夫さん(80)です。
きっかけは今から15年ほど前。科学を楽しく学ぶセミナーで、炎色反応を起こして1本ずつ炎の色が違うろうそくをつくったことでした。
その後、銅やリチウムなどを使って緑、赤、紫、黄の単色のものを試作。2003年には自分の息子の結婚式で、ハート型にかたどったオブジェに、色とりどりの炎のキャンドルを並べましたが、燃料となる液体があふれてオブジェが燃え、大騒ぎになりました。
燃料を固形化し、商品化に向けて試行錯誤しましたが、暗い色があったり、炎の大きさが一定でなかったりと難航。そんなとき、工場の隅に捨ててあった使えない芯を拾い上げ、4色すべて一緒に固めて火をともしてみたら、虹色に見える炎がともったそうです。
松平さんは「たくさんの失敗の中から偶然に出来上がった、世界でひとつしかない幻想的なキャンドルなんです」と話します。
その後、キャンドルを一定の大きさできれいに燃やすための「燃焼制御リング」を開発して特許も取得。レインボーキャンドルは、県の「石川ブランド認定製品」にも選ばれています。
通販大手から「うちで売って欲しい」と声をかけられましたが、手作りで大量生産が難しいため断念。土産物店に置いてもらって松平さんが実演販売したり、ケーキ屋で売ってもらったりしています。
今回、ネット上で拡散して話題になっていることについて、孫の美鈴さんは「昔、宣伝しようと思って検索したときは全然出てきませんでした。それが今回は偶然こんなことになるなんて……。タイミングって大事だなと思いました」と話します。
これに対し、松平さんはこう話します。
「ご縁のある方に見ていただければと思い、作り続けてきました。いつか世間に広まればと思っていただけに、話題にしていただいて大変ありがたいです。ネットで広めるのに孫が力を貸してくれているとは知らなかったので、意外ですが感謝しています」
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