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「ミスタープレジデント教えてください」被爆地の女学生の静かな問い
「ミスタープレジデント、あなたのお考えがどのように変化したかについて知りたいです」。被爆地・広島にある広島女学院高校の生徒がフェイスブックに投稿した動画が、静かな共感を呼んでいます。5月27日、オバマ大統領が広島を訪問します。フェイスブック以外にも、クラウドファンディングを使って、日本とアメリカの高校生らの交流をめざすプロジェクトもスタートしています。インターネットツールを活用した、ミレニアム世代ならではの取り組みが広がっています。
広島女学院高校は、広島市の平和記念公園からほど近い場所にあります。ビデオレターを作ったのは、1年生の有志約20人です。大統領に生徒や世界中の若者に向けてメッセージを発信してほしいと、大統領の広島訪問が決まった5月10日の直後に制作を開始しました。
ビデオレターは23日にフェイスブック上で公開され、これまでに7000回以上再生されています。
「Dear President Obama」で始まるビデオレターはすべて英語で、生徒一人一人が大統領に向かって語りかけます。オバマ大統領は2009年にプラハで「核なき世界」の理念を提唱しました。
原爆投下で350人の生徒・教職員が亡くなり、校舎が全壊した広島女学院では、平和や核の問題についての勉強や活動に力を入れていることを説明しています。生徒たちは、デジタル上の地図に被爆者の証言をマッピングするプロジェクト「ヒロシマ・アーカイブ」の制作にも協力しています。
ビデオレターでは、大統領に対し「広島を訪問された後、どうぞ私たちにメッセージをください。平和公園を訪問した感想、またお考えがどのように変化したかについて知りたいです」と呼び掛けています。
発起人の1人の山下緑さんは「大統領や世界中の人たちに見てもらうことで、一人でも多くの人が核を正当化する考えをなくし、平和への小さな一歩につながってほしい」と話しています。
9月には、デジタルアーカイブの取り組みを進める首都大学東京の渡邉英徳准教授が主催する「日米・高校生平和会議」が計画されています。広島・長崎の高校生を米国に派遣し、原爆被害の理解を深める米国の高校生や米国在住の被爆者らと、デジタルツールを活用しながら、原爆や太平洋戦争についての知識を共有し、議論をします。
そのための資金を集めるクラウドファンディングが26日から始まりました。目標金額は150万円。広島と長崎の高校生・大学院生チューターをアメリカに派遣するための旅費と、現地でのワークショップ開催費、在米被爆者の招待費などを募っています。
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