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三国志の眼鏡!この発想はなかった…「二次創作」の元祖、今も進化中

ゲームや漫画で根強いファンのいる三国志ですが、とうとう眼鏡が登場しました。1800年の時を経て英雄たちの活躍の幅が広がっています。

愛眼が発売した三国志眼鏡。曹操タイプは力強い赤でデザインされている
愛眼が発売した三国志眼鏡。曹操タイプは力強い赤でデザインされている 出典: 愛眼提供

目次

 ゲームや漫画で根強いファンのいる三国志ですが、とうとう眼鏡が登場しました。曹操、周瑜、諸葛亮をイメージしたフレームを売りにしています。漫画やゲームから進化をしてきた日本の三国志文化。1800年の時を経て英雄たちの活躍の幅が広がっています。

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1800年前の歴史書がベース

 三国志は、1800年ほど前の中国が舞台です。漢王朝末期から、魏、呉、蜀の三つの国が覇を争った時代の興亡を描いています。魏を滅ぼした晋(しん)による歴史書(正史)で、魏の曹操、蜀の劉備や関羽、呉の孫堅ら英雄が活躍します。

三国志祭のために練習する(右から)「劉備」役、「関羽」役、「曹操」役、「孔明」役の市民=2013年10月8日
三国志祭のために練習する(右から)「劉備」役、「関羽」役、「曹操」役、「孔明」役の市民=2013年10月8日 出典: 朝日新聞
1800年ほど前の中国。漢王朝末期から、魏、呉、蜀の三つの国が覇を争った時代の興亡を描いたのが『三国志』だ。魏を滅ぼした晋(しん)が編んだ歴史書(正史)である。魏の曹操(そうそう)、蜀の劉備(りゅうび)や関羽(かんう)、呉の孫堅(そんけん)ら英雄が活躍する。
2012年2月20日:(文化の扉)はじめての三国志 大義と友情、個性派武将ずらり:朝日新聞紙面から

「待てあわてるな、これは孔明の罠だ」

 三国志といえば、横山光輝さんの漫画と、コーエーテクモゲームスの歴史シミュレーションゲーム「三國志」が有名です。

 全60巻の漫画「三国志」は、30代以上の漫画ファンなら誰もが知っているであろう名作です。作中に登場するセリフも有名で、「待てあわてるな、これは孔明の罠だ」などは、漫画を読んでいない人にも通じる知名度があります。

 ゲーム「三國志」は1985年に発売以来のロングセラーシリーズです。有名な武将からマニアックな武将まで、エピソードにちなんだ能力が数字によって設定されており、ゲームを通じて歴史好きになった人も少なくありません。

マンガ家の横山光輝さん=1983年
マンガ家の横山光輝さん=1983年 出典: 朝日新聞
漫画「三国志」は72年1月号から16年にわたり、1万2千ページ以上をかけて雑誌に掲載。単行本全60巻の発行部数は、7千万部を超える大ベストセラーとなった。
2006年10月30日:今度は「三国志」だ、新作グッズ続々 故横山光輝さん特別展:朝日新聞紙面から
コーエーテクモゲームスの歴史シミュレーションゲーム「三國志」は1985年以来のロングセラー。
2012年2月20日:(文化の扉)はじめての三国志 大義と友情、個性派武将ずらり:朝日新聞紙面から
85年のシミュレーションゲーム「三國志」はもともと群雄の国取りを再現する内容だったが、次第に600人余にも及ぶ登場人物のだれにでもなりきれ、歴史物語の一端に加われるようになった。
2005年3月23日:漫画界で「三国志」ブーム 大胆な解釈で新ヒーロー:朝日新聞紙面か

漫画で大胆解釈、マナーポスターにも登場

 漫画の世界では、斬新な解釈によって様々な作品が生まれました。

 「蒼天航路」(1994年)は、曹操を主役にし、劉備、関羽、張飛の義兄弟が中心の「三国志演義」の解釈に真っ向から対抗して人気を得ました。

 「覇-LORD」(2005年)は、卑弥呼のもとにいた倭人(わじん)が大陸に渡って劉備に成り代わるという大胆な解釈がなされています。

故・川本喜八郎さんが手がけた大型人形。NHKテレビ「三国志」も多くのファンに影響を与えた
故・川本喜八郎さんが手がけた大型人形。NHKテレビ「三国志」も多くのファンに影響を与えた 出典: 稲城市立iプラザ提供

 三国志は、横浜市営地下鉄のマナー向上ポスターにも登場しています。2015年、ゲーム「三國志」が30周年となるのを記念し、コーエーテクモゲームス(横浜市港北区)と横浜市がタイアップしました。

「覇王の座は譲らぬが、この座席は譲ろう」(曹操)
「人中に呂布あり! 車中に駆け込み無し!!」(呂布)
「張飛!酔うて車内で義の無き行いをするではないぞ?」(関羽)
「心配するな兄者!酒はほどほどに、だろ?」(張飛)

 英雄たちの勇ましいコピーがおどっています。

三国志の武将たちが横浜市営地下鉄の車内マナー向上をPRするポスター
三国志の武将たちが横浜市営地下鉄の車内マナー向上をPRするポスター 出典: 朝日新聞
思えば演義の解釈に真っ向から対抗して人気を得た先駆けは94年の「蒼天航路」(週刊モーニング)だった。曹操を主役にし、最新33巻が20万部、単行本や文庫本含めて通巻1200万部を売り上げている。
2005年3月23日:漫画界で「三国志」ブーム 大胆な解釈で新ヒーロー:朝日新聞紙面から
いずれも「演義」の開幕通り、劉備、関羽、張飛の義兄弟の話から始まるが、素直に「桃園の誓い」とはならない。とりわけ武論尊作・池上遼一画の「覇」は、卑弥呼のもとにいた倭人(わじん)が大陸に渡って劉備に成り代わるという大胆な解釈がなされている。
2005年3月23日:漫画界で「三国志」ブーム 大胆な解釈で新ヒーロー:朝日新聞紙面から
人気シミュレーションゲーム「三國志」に登場する武将たちが、横浜市営地下鉄の利用マナー向上を呼びかけるポスターが、12月10日から登場する。1985年のシリーズ第1作から30周年となるのを記念し、開発元のコーエーテクモゲームス(横浜市港北区)と市がタイアップした。
2015年11月22日:三國志武将「座席譲ろう」 市営地下鉄、マナー向上ポスター:朝日新聞紙面から

眼鏡も登場、その狙いは…

 2015年末には、ついに眼鏡が登場しました。「曹操」「諸葛亮」「周瑜」の3人をイメージしたデザインが、眼鏡をフレームを飾ります。

 なぜ三国志を眼鏡にしょうと思ったのか? 発売元の愛眼は「三国志ファンは中高年の男性に多いと考え、ビジネスでの勝ち運というストーリーを加え、訴えることにしました」と説明します。

 そのため、キャラクターは「曹操」以外は名参謀と言われる2人を採用しました。「曹操」は力強い赤、「諸葛亮」は颯爽(さっそう)とした白、「周瑜」はミステリアスな蒼がテーマになっています。

曹操のフレーム。迫力ある顔がのぞく
曹操のフレーム。迫力ある顔がのぞく 出典: 愛眼提供

 愛眼によると狙い通り「ビジネスでの勝ち運」を意識した中高年の男性が買っていくほか、若い女性の購入者もいるそうです。

 中国文学者の井波律子さんは三国志の魅力について、次のように分析しています。

 「勝ち続けた武将がいないのもいい。どん底からはい上がる不死鳥の実例がいっぱいで鼓舞される。あぶれ者が武将になるなど、乱世ならではの面白さ」

 もともと中国の歴史書だった三国志ですが、二次創作の本場、日本で独自の進化を遂げているようです。

諸葛亮のフレーム。颯爽とした姿が描かれている
諸葛亮のフレーム。颯爽とした姿が描かれている 出典: 愛眼提供
中国文学者の井波律子さんは「勝ち続けた武将がいないのもいい。どん底からはい上がる不死鳥の実例がいっぱいで鼓舞される。あぶれ者が武将になるなど、乱世ならではの面白さ」と話す。
2012年2月20日:(文化の扉)はじめての三国志 大義と友情、個性派武将ずらり:朝日新聞紙面から

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