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南部陽一郎さんは日本人? ノーベル賞の国別ランキングで物議
南部陽一郎さんが94歳で死去しました。東京生まれで70年に米国籍を取得し。ノーベル賞受賞時には「日本人」かどうかをめぐり議論を巻き起こしました。
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南部陽一郎さんが94歳で死去しました。東京生まれで70年に米国籍を取得し。ノーベル賞受賞時には「日本人」かどうかをめぐり議論を巻き起こしました。
2008年のノーベル物理学賞を受賞した米シカゴ大名誉教授の南部陽一郎さんが5日、急性心筋梗塞で死去しました。94歳でした。東京生まれの南部さんは、70年に米国籍を取得しました。文科省では、ふだんは日本人とみなしつつ、白書などの記録では「米国人」に数えるなど、微妙な対応に。南部さんの世界的な功績は、「日本人」とは何かをめぐる議論も巻き起こしました。
南部さんは、東京大を卒業後、大阪市立大教授となり、52年、米プリンストン高等研究所に招かれて渡米します。以降、米シカゴ大で研究を続け、1995年にウルフ賞、2005年にベンジャミン・フランクリン・メダルを受賞。2008年、ノーベル物理学賞に選ばれます。
生前、大阪府豊中市に自宅があった南部さんですが、国籍は米国です。日本は二重国籍を認めていないため、日本人とは言えません。一方、ノーベル賞は各分野の第一人者の証であり、国力を象徴する存在であると思われているのも事実です。
そのため、文科省は、通常は日本人とし「今年の日本人受賞者は4人」などの表現を使いつつ、国別の集計では米国にカウントしています。
ノーベル賞を選ぶノーベル財団は、どう考えているのでしょうか。財団は、発表時の国名を「そのときの活動拠点」だと説明しています。そのため、南部さんは「米国」として発表されました。また、「『国籍は一切考慮せず、最もふさわしい人物に』というアルフレッド・ノーベルの遺志に従って賞を選考している」として、国別の集計を公式には出していません。
ノーベル賞受賞直後の2008年10月8日、新聞各紙は南部さんを「日本人」と報じました。作家の森巣博さんは10月23日の朝日新聞紙面で「日本にエスニシティの起源をもつアメリカ国籍所有者を『日系アメリカ人』と呼ぶのはわかるのだが、『米国籍で日本人』とは、いったいなんのことじゃ?」と批判。
朝日新聞ではその後、2008年12月11日の紙面では、化学賞を受賞した下村脩さんを含め「日本の4人」という見出しを使っています。