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レインボーフラッグ、なぜLGBTの象徴に? 旗に「命がけの歴史」
性的少数者(LGBT)の権利を求める運動の象徴「レインボーフラッグ」。実は6色しかない旗。そこには、命がけだったLGBT運動の歴史がありました。
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性的少数者(LGBT)の権利を求める運動の象徴「レインボーフラッグ」。実は6色しかない旗。そこには、命がけだったLGBT運動の歴史がありました。
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米最高裁が、米国の全州で同性婚を認める判決を出したのに合わせ、フェイスブックのアイコンを虹色に変える人が増えています。これは性的少数者(LGBT)の権利を求める象徴「レインボーフラッグ」にちなんでいます。虹といえば7色ですが、実は旗の色は6色。1978年に旗が誕生した時は8色でした。今では多くの人が知るようになった「レインボーフラッグ」。そこには、命がけでLGBTの権利を求めてきた運動の歴史がありました。
「レインボーフラッグ」は、1978年6月25日にサンフランシスコで生まれました。考案したのは、ギルバート・ベーカーさんです。ベーカーさんは米軍を除隊後、独学で裁縫を身につけ、ゲイの権利を主張する運動に加わりました。同性愛への理解のない70年代、ゲイパレードへの参加も命がけでした。実際、一緒に活動していたゲイ解放運動家ハーベイ・ミルクは、1978年に暗殺されています。ハーベイ・ミルクは、のちに映画になり、ニューヨーク市の高校の名前にもなっています。
デモの旗作りを任されたベーカーさんは、すべての色を含み多様性を表す虹を思いつきます。星条旗の横しまにも影響を受けたそうです。LGBTだけでない「人間の多様性を守ること」という思いを込め、デザインしました。
現在は6色の「レインボーフラッグ」ですが、生まれた当初は8色でした。一番上に「性」を意味するピンク。ターコイズもありました。最初の1枚は、仲間と集まって自然の染料で一色ずつ染め、手で縫い上げました。ところが、LGBTの運動が広がったことで、大量の旗が必要になる事態に。技術的な問題から8色の旗をプリントしてくれるところがなかったため、6色に落ち着きました。
世界中に広まった「レインボーフラッグ」。日本でもLGBTの権利を求めるパレードなどで、使われています。2014年2月には、グーグルがソチ五輪に合わせてトップページに、五輪旗の5色ではなく同性愛の権利運動を象徴する6色の「レインボーフラッグ」をあしらったロゴを掲げました。未成年に対する同性愛の宣伝を禁止する法律を成立させたロシアへの抗議でした。世界中に広まった旗は2015年6月、「世界的象徴」として、ニューヨーク近代美術館の所蔵品に加わりました。
「レインボーフラッグ」を考案したベーカーさんは、その後、旗の製造会社に就職し、有名イベントの旗を手がけるなど、長年デザイナーとして活躍しました。米最高裁の判決について、ベーカーさんはこう語っています。
「判決は節目だが、偏見をなくすにはまだ長い時間がかかる」