IT・科学
ドローンで救う命 医療器具の輸送を研究中 「過度な規制が心配」
規制が進む小型無人飛行機(ドローン)ですが、医療現場への活用の研究も進んでいます。救急救命士からは「開発の芽を摘まないで」との声も。
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規制が進む小型無人飛行機(ドローン)ですが、医療現場への活用の研究も進んでいます。救急救命士からは「開発の芽を摘まないで」との声も。
15歳少年による威力業務妨害事件や、首相官邸侵入事件などで、規制が進む小型無人飛行機(ドローン)ですが、医療現場への活用の研究も進んでいます。各地で飛行が制限される中、救急救命士からは「開発の芽を摘む動きにならないでほしい」との声も出ています。
医療現場へのドローンの活用を研究しているのは、救急救命士として10年のキャリアがあり、現在は専門学校で教員をつとめる小澤貴裕さんです。
救急の現場では、救急救命士らをどのような編成で急行させるかは、通報の電話からの情報に頼るしかありません。人数が少なすぎれば現場の作業に支障が出て、多すぎれば他の現場が手薄になってしまいます。
小澤さんは、救急の無料アプリ「Heart Rescue」を活用した現場把握の研究を進めてます。「Heart Rescue」を使えば、近くの自動体外式除細動器(AED)の場所を探したり、近くにいるアプリの登録者に救急情報を知らせることができます。
例えば、「Heart Rescue」から発信される緯度経度情報をドローン側が察知し、いち早く現場に飛んでいき、ドローンのカメラで撮影された映像を受信。映像を見て、最適なチーム編成を整えることが可能になります。
小澤さんがもう一つ、力を入れているのが医療器具の運搬です。強いアレルギー反応時にショック症状などを抑える注射薬「エピペン」は、重さ約60グラムと軽いため、市販のドローンに積むことができます。
将来的には1.6キログラムある電気ショックで心臓の動きを正常に戻すAEDを積めないか研究中です。
数年前からドローンの研究をしていたという小澤さん。最近の事件を受けた規制の流れには批判的です。
「もともと工学系の出身だった自分だったら、ドローンの医療現場への活用という発想が生まれた。過度の規制が進めば、ドローンに関わる人が限られてしまい、自分のような異なる分野の乗り入れがなくなってしまう」と心配します。
現在では市街地での飛行は規制が進み、「Heart Rescue」を使った取り組みは難しいのが現状です。
小澤さんは、発展途上の技術だけに実験の場が限られてしまうことのデメリットも指摘します。「ドローンの活用先として、現場把握が適してるのか、医療器具の運搬がいいのか、まだわからない部分もある。悪いことをしようと思えば、現在の規制でも限界がある。将来、救える命があることを考えてほしい」と訴えています。