MENU CLOSE

IT・科学

ピンタレスト「我々はインスタでもSNSでもない」日本での戦略は?

写真共有サイト、ピンタレストが、日本に専門チームを作りました。「インスタでもSNSでもない」と強調する同社。日本での戦略は?

アメリカの本社インターナショナルビジネス部長のマット・クリスタル氏(左)と、日本のカントリーマネージャーの定国直樹氏
アメリカの本社インターナショナルビジネス部長のマット・クリスタル氏(左)と、日本のカントリーマネージャーの定国直樹氏

目次

 写真共有サイト、ピンタレストが、この春、日本での展開を本格化させるための現地専門チームを作りました。同じ写真を使ったサービスではインスタグラムが浸透しつつある中での動き。「我々はSNSではなく、全く別のサービス」と同社は強調します。日本での戦略について、チーム発足に合わせて来日したアメリカの本社インターナショナルビジネス部長のマット・クリスタル氏と、日本のカントリーマネージャーの定国直樹氏に聞きました。

【PR】指点字と手話で研究者をサポート 学術通訳の「やりがい」とは?
築45年の倉庫兼事務所をリノベーション、中目黒にあるピンタレストのオフィス
築45年の倉庫兼事務所をリノベーション、中目黒にあるピンタレストのオフィス

ピンされた写真、集めてたどる

 ピンタレストは、ユーザーが写真を投稿(ピン)し、ボードというページにまとめ、それらを共有するサービスです。料理やファッションなど、気になるボードを探し、そこから自分に合った写真を見つけると、リンク先のページで詳しい情報を得ることなどができます。企業がピンする写真も多く、リンク先のECサイトなどで直接、商品を購入できるものもあります。

タブレットでのピンタレスト。ファッションやDIYなどのピンが並ぶ
タブレットでのピンタレスト。ファッションやDIYなどのピンが並ぶ 出典:Pinterest

アメリカ以外、初の専門チーム

 2010年にアメリカで生まれたピンタレストは、急速にユーザーを伸ばし、現在7000万人が使っているとされています。日本国内のユーザーは公表されていませんが、アメリカ以外のユーザーの比率は40%です。

 日本には2013年8月に進出しました。2015年3月、本国からエンジニアやデザイナー5人を移し、専門の開発チームを作りました。本国のアメリカ以外でチームを作った国は日本が初めてです。


「インスタとは全然、違う」

 チームの狙いについてクリスタル氏は「まず調査すること。日本のマーケット、日本のユーザーを知るためには、しっかり日本に足を着けて調べることが大事」と話します。

 日本でユーザー数が伸びているインスタグラムについて、定国氏は「我々とは大きく異なる」と強調。「ピンタレストはSNSではない。ピンタレストでひらめいたアイディアを、友だちに言う必要は全くない。あくまで自分がそれを実行するためにある」と、説明します。

テレビCMは使わず

 日本で認知度を広めるにはどうするのか。クリスタル氏は「ピンタレストを始めたきっかけは友人のすすめ、という人が1番多い。良い経験をしてもらえれば必ず友人に伝えたくなるはず。これはどこの国でも変わらない」と言います。

 定国氏は「ユーザーの声を聞いて、ニーズに合ったものをしっかり使ってもらってプロダクトに活かすというのが正しい戦略だと思っている」と話します。テレビCMなどのマスマーケティングの手法は採らない方針です。

ビジネスモデルは「広告型ピン」を視野

 ビジネスモデルについては、企業からお金をもらってビジネス向けの公式アカウントを作るような展開はせず、広告ビジネスを考えています。

 そのため、現在、アメリカで提供している広告型のピン(promoted pin=プロモートピン)を、将来的には日本でも導入する予定です。プロモートピンは、ピンの下に「promoted」などの文言が入る投稿です。

プロモートピンの画面
プロモートピンの画面 出典:Pinterest

「使ってもらう」までにハードル

 ピンタレストの特徴は、ユーザーが「今日、○○料理を作りたい」「○色の水着が欲しい」など明確な目的意識を持っていることです。同社が「発見エンジン」と呼ぶ、このコンセプト。同社が強調するようにインスタグラムというよりは、グーグル検索や「食べログ」「@コスメ」などに重なる部分が多そうです。ピンタレストが狙うのは、「食べログ」ほど具体的ではなく、グーグル検索ほど曖昧ではない。そんな目的意識をもったユーザーだといえます。

 課題は、すでに様々なサービスがひしめき合っている日本で、どう存在感を示すか。ボードという「スタイリッシュ」なサービスの操作性を伝えるには、まずはユーザーに使ってもらう必要があります。ネット上で影響力のあるブロガーのようなインフルエンサーを活用するか、特徴のある参加企業を引き入れるか、何らかの手だてが求められます。

 「使ってもらえばわかる」というサービス自体へのこだわりが強い同社。日本専門チームが繰り出す一手が、注目されます。

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます