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あなたは星いくつ? 「食べられログ」が浮き彫りにする、点数社会
「食べログ」じゃなくて、「食べられログ」があったら。そんな世界を描いたネット小説が話題です。
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「食べログ」じゃなくて、「食べられログ」があったら。そんな世界を描いたネット小説が話題です。
デートに飲み会、何だかんだで使ってしまう「食べログ」。利用者の口コミで決まる点数で、お店を選ぶ人も多いです。でも、食べるあなたを評価する「食べられログ」があったら・・・。そんな短編SF小説がネット上で話題です。“ランク付け”したがる社会への風刺ともとれるこの作品、どんな発想から生まれたのか、作者の小関悠さんに話を聞きました。
小説の冒頭はこんな文章から始まります。
「二日酔いの朝、スマートフォンをチェックしたら、食べられログからの通知があった。昨日の居酒屋からの評価だった。細かく読まなくても分かる。『★★☆☆☆』、星ふたつだ。これで点数はまた下がった。2.57。それが僕の客としての点数だ。2点台に落ち込んで、もう半年が経つ」
物語は、利用者が店側から評価される架空のサイト「食べられログ」をめぐる「僕」の話です。フランス料理の名店で粗相した主人公は、食べられログの点数が失墜。それからは、予約の際に名前を言うと、いい店には食べられログの点数を見て予約を断られる・・・そんなストーリーです。
今年1月、作者の小関さんが自身のサイトに小説を掲載すると、じわじわとツイッターやフェイスブックで広がり話題となりました。
小関さんは「実際の日常生活でも人は互いに評価しあっていて、その評価は平均ではない。会社でも力のある上司の評価は大きかったり…。現実にこういうのってあるよね、と共感されたのではないか」といいます。小説では、評価の高い店が客を評価すると、より“重み付け”されて星の数に反映される、というどこかで聞いたような仕組み。
「食べログ」を皮肉っているという評価も受けるといい、「食べログは日常的に使っている。批判する意図はなかったので、申し訳ない」。
普段から年に数本の小説を書いているという小関さん。仕事ではIT企業で広告マーケティングを担当し、ネットで人が決める評価について考え続けていると言います。今回の作品も、そうした中からふと生まれたそう。
反響は大きく、実際にレストランで働く人から「横柄な客がいると、『食べられログ』のようにこちら側から評価したくなる時もある」という声も寄せられているそうです。
「食べられログ」が実際にあったら・・・。
「気持ち悪さはあるが、食べログでも自分たちが評価していいのかと思いながらも評価し、点数が低い店には行きたくないと感じている。よくも悪くも、すでに互いに評価し、それが可視化される社会になっている」。小関さんはそう指摘します。