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機長はなぜ、ドアを開けられなかったのか テロ対策が裏目 独機墜落
ドイツ機の墜落事故。機長はなぜコックピットに戻れなかったのか。以前は外からも開けられた操縦室のドア。テロ対策で安全を優先させたことが、裏目に出てしまったようです。
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ドイツ機の墜落事故。機長はなぜコックピットに戻れなかったのか。以前は外からも開けられた操縦室のドア。テロ対策で安全を優先させたことが、裏目に出てしまったようです。
フランスの山中に、乗客乗員計150人を乗せたドイツの格安航空会社ジャーマンウィングスの旅客機が墜落した事故。これまでの調べで、副操縦士が機長をコックピットから閉め出していた可能性が指摘されています。以前は外からも開けられた操縦室のドア。テロ対策で安全を優先させ、内側からしか開けられなくしたことが、裏目に出てしまったようです。
仏検察当局は、副操縦士が1人で操縦し、意図的に墜落させたとみられると説明しています。調べでは、機長がコックピットへ必死に戻ろうとしていた可能性があることがわかっています。
コックピットへの出入りは、2001年の米同時多発テロを機に、世界的に厳しく制限されるようになりました。日本の国土交通省によると、60席超の旅客機では2003年11月から、銃弾が貫通しない強化ドアの装備が義務づけられています。
1999年7月に全日空機が男にハイジャックされ、機長が殺害された事件では、コックピットから閉め出された副操縦士らが体当たりしてドアを破り、ハイジャック犯を取り押さえました。しかし現在は、原則、ドアはコックピット内からしか開けられません。
元日本航空機長で航空評論家の小林宏之さんは、ドアを外から開ける手段は「聞いたことがない」とし、「コックピットの外に閉め出された操縦士が戻れなければ、墜落を避けるのは難しい」と話しています。
仏検察当局によると、事故機の副操縦士は機長をコックピットから閉め出したままにし、機体を急降下させました。米CNNは、コックピット内にいる操縦士がドアをロックした状態にし続ければ、外から入ることはできないと伝えています。
例え意図的に閉め出さなくても、コックピットに残った操縦士が意識を失うような事態でも、閉め出されてしまいます。小林さんは「同時多発テロ以降、セキュリティー面をより重視するようになった一方、操縦士が飛行の安全を脅かすような状況は想定外だった。航空界は安全対策を見直す必要があるのではないか」と指摘しています。