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来年の幼稚園選び、もうスタート 優先権ある「プレ保育」 競争激化
もうすぐ入園シーズン。ところが、すでに来年の入園に向け動き出している人たちも。急速に広まっている「プレ保育」「プレ幼稚園」って?
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もうすぐ入園シーズン。ところが、すでに来年の入園に向け動き出している人たちも。急速に広まっている「プレ保育」「プレ幼稚園」って?
もうすぐ入園シーズンです。徹夜の行列もあるという幼稚園の選考をくぐり抜け、新生活を楽しみにしているママ・パパも多いことでしょう。しかし、すでに来年の入園に向け動き出している人たちもいるのです。そんな中、急速に広まっているのが「プレ保育」「プレ幼稚園」です。過熱する競争に「もう義務化してくれ」という声も出ています。
都内の願書受付日は毎年11月1日。今年、大田区の私立幼稚園には、午前4時すぎには30人余りの行列ができていたそうです。先頭付近の30代男性は、前日の午後6時、会社帰りにのぞいたら何人かいたので、そのまま並んだといいます。保護者たちは、ダウンジャケットなど防寒具を着込み、寝袋を用意する人も。
行列を代行する業者もあり、渋谷区の便利屋チェーン店には300件の依頼があったそうです。費用は1時間3千円かかります。
家の近所の幼稚園がすごい人気らしく願書受付のため徹夜で行列を作ってます。 pic.twitter.com/SJoE1Axinf
— yoshima3 (@ysms128) 2014, 10月 1
どうも幼稚園?の願書提出待機列らしい。すげぇ世界だ…… pic.twitter.com/N4Vws5uSPZ
— アラブ三郎 (@alovesun) 2014, 10月 31
大田区議会でも取り上げられています。月曜日が願書提出日だった年は、金曜日の夜から3泊4日で行列をつくることもあったそうです。大田区は区立幼稚園がすべて閉園され、私立幼稚園しかありません。
行列をつくるのは都内だけの話ではありません。神奈川・埼玉・愛知・大阪などの都市部で多くあるようです。
人気幼稚園に入るためには、さらなる競争がありました。未就園児対象の「プレ保育」「プレ幼稚園」です。
プレ保育利用者が優先的に「入園できる」「願書をもらえる」園が増えており、プレ利用のために抽選がある園も出ています。
過熱する競争に、ツイッターでは「もう義務化してくれ」という声も出ています。
幼稚園に入れる前の一年は週数回のプレ保育に入れる。入園はプレに入っているのが条件なので、プレに入れる為の見学会やらがその前の年にあり、プレに入る為の抽選会が年末にある。つまり1歳または2歳で幼稚園を決定するわけ。もう義務化してくれ。
— どえこ (@doshitara_A_co) 2013, 6月 13
今日は娘を入れる予定の幼稚園でプレ保育の抽選だった。
たくさんの親子が参加してたけど、娘にくじ引きをやってもらったら見事引き当てた!
以前は先着順で前日の夜から親御さんが並んでいたらしい。
緊張し過ぎて大げさだけど神経すり減らしてしまって帰ってからしばらく頭痛で動けなかった~。
— seiko468 (@sei_a_t1828) 2013, 4月 15
幼稚園選びの最新事情について、さいたま市で母親のためのコミュニティー「スマイルママコム」を運営している芳川ユミさんに聞きました。
プレ保育とは、幼稚園に入る前の1歳半~3歳児が週1~2回、2時間程度通うクラスです。母子一緒に参加することが多く、お遊技や園庭遊び、行事への参加などを通じて、集団生活に慣れる・家庭ではできない体験ができるのが魅力のようです。「プレは2006年ごろから広がり始め、今では7~8割の園で実施している印象です」
そもそもは、少子化で空いた教室を使い、子育て支援として始まったようです。最近では、「3年保育への切符」を約束し、“囲い込み”のために実施する園が増えてきました。幼稚園側としては、次年度希望者の人数把握が早めにできるのがメリットのようです。
少子化で全国の幼稚園の3割は定員割れしています。出生率が全国一低かった(03~07年)東京都目黒区の場合、私立幼稚園はピーク時の33園から19園に減っています。
幼稚園は生き残りをかけ、特色を出す傾向が強まっています。
英語・パソコン・体操・スイミング・造形・ピアノ・サッカー…。放課後に外部の先生に園に来てもらい、指導する場合もあります。親にとっては、習い事を園で済ませられる、という感覚です。
いわゆる「幼稚園」の枠におさまらないイングリッシュスクールやスポーツ幼稚園も人気です。例えば、横浜と埼玉にあるスポーツ幼稚園「キッズ大陸」。敷地内に25mプール・アリーナ・インドア型フットサルコートを完備し、バスで送迎・最大21時まで預かり・小学6年生までの学童保育があるそうです。
10歳と4歳の子どもがいる芳川さんは、この5年で明らかに幼稚園へのニーズは変わったと感じているそうです。
人気なのは、夏休み保育がある・預かり保育の時間が長い(16時~18時まで)・お弁当が少ない。お遊戯の衣装づくりは先生がするなど、親に負担をかけないようにする園に人気が集まっているそうです。
「以前は強気に紹介制といっていたいわゆる『良妻賢母』系の園はだんだんと人気がなくなってきています」
親の感覚に変化があるようです。「最近のお母さんは働きたいという思いが強いです」。経済的理由だけでなく、企業などで働いた経験のあるお母さんが多いためのようです。
病院の受付・ランチタイムだけのフロア担当・フリーランス編集者や通訳など、幼稚園に子どもを預けながら働く人は年々増えているそうです。
自治体の財政難から公立の幼稚園はどんどん姿を消しています。公立という選択肢がなくなり、ただ近所だから通わせるという人はほとんどいないそうです。
いろんな園を見学して、家庭に合った園を探すことが必要です。「子どもが1歳半になったら準備を始めてください」と芳川さんは言います。
実際に通わせている人に話を聞くのが一番確かですが、最近ではネット掲示板や子育て支援センターなどで情報収集することもできます。
幼稚園の低年齢化とバラエティーあふれる教育内容。少子化だからこそ、という一面もあることが分かりました。
公園で遊ぶ子どもが減ったのもうなずける気がしました。