お金と仕事
USJ絶好調の理由 来場者過去最高へ 「ハリポタ後」の戦略も
USJの今年度の来園者数が、週内にも過去最高を更新する見通しとなりました。絶好調のUSJですが、すでに「ハリポタ後」も見すえた戦略も展開しています。
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USJの今年度の来園者数が、週内にも過去最高を更新する見通しとなりました。絶好調のUSJですが、すでに「ハリポタ後」も見すえた戦略も展開しています。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ、大阪市)の今年度の来園者数が、過去最高を更新する見通しとなりました。これまで開業時の2001年度に記録した1102万人を超えられずにいましたが、映画「ハリー・ポッター」の新エリアなどが貢献、1200万人に届きそうです。絶好調のUSJですが、米ユニバーサル映画ではない別配給の映画や、漫画・アニメも積極的に採用。「ハリポタ後」も見すえた戦略も展開しています。国内トップの東京ディズニーリゾートの3000万人を猛追しています。
USJは2001年3月31日に開業しました。敷地は鉄鋼や造船などの工場跡地でした。重厚長大型産業からソフト重視の「国際集客都市」への転換を狙った大阪市が、東京ディズニーランドの成功に触発され、日本進出を検討していた米ユニバーサル・スタジオ社に誘致を働きかけた事業でした。
これまでの過去最高の来園者数は、開業時の2001年度の1102万人でした。開業の翌年の2002年度はアトラクションで火薬を使いすぎるなど不祥事が相次いで発覚し、760万人に減少しました。
2003年度は、立体映像などで映画のスリルあるシーンを体験させる「シュレック」「スパイダーマン」などの新アトラクションを導入。来園者は988万人に戻りましたが、その多くは、何度も入れる年間パスを買った人でした。結果、来園者数ほど収入は増えず、初年度から続く赤字を解消できませんでした。
そんなUSJを復活させるきっかけを作ったのが、2004年に社長になった米ユニバーサル出身のグレン・ガンペル氏です。ガンペル氏は、ゲームやマンガのアトラクションを次々と導入します。「ワンピース」やゲーム「モンスターハンター」のショーを開催。ガンペル氏が社長になって3年目の06年度には、リストラなどのコスト削減も効いて、USJは初めて黒字になりました。
USJが次に狙ったのが、子育て中の主婦層でした。遊園地に行きたいけれど、1人では行けない。そんな需要をとらえて、親子で楽しめるスヌーピーなどのキャラクターを前面に出したユニバーサル・ワンダーランドを2012年に新設しました。これによって入園者は増加し、2013年度には、1050万人と1千万人の大台を超えました。
2014年度のUSJは、ハリポタエリアができた昨年7月から今年1月まで7カ月連続で過去最高の来園者数を記録しています。特に2014年10月の146万人は単月では最高でした。今年1月には過去最速で1千万人を突破しています。
絶好調のUSJですが、意識はもう「ハリポタ後」に向いています。米ユニバーサル映画の作品に限らず、別配給の映画、国内外でヒットしている漫画・アニメも積極的に採用しています。乗り物だけではなく、閉ざされた空間から抜け出す「リアル脱出ゲーム」、映像ショー「プロジェクションマッピング」などアトラクションの種類も増やしました。
沖縄や海外で「第2パーク」の計画も持ち上がっています。また、大阪府と大阪市が夢洲(ゆめ・しま)への誘致をめざすカジノを含んだ統合型リゾートの経営にも関心を示しています。社長のガンペル氏は社内で常にこう話しているそうです。「積極的にバットを振れ」 。