「ネコは魚好き」思い込みだった？　食べ過ぎは病気に　ねこまんまも

「ネコの大好物は魚」って思っていませんか？　確かに、ネコは肉食動物なので魚肉も好物です。でも、魚ばかり食べていると病気になってしまうんです。

サザエさんの歌だって……

国民的アニメ「サザエさん」の主題歌が、魚をくわえたネコを追っかけるシーンから始まるように、日本では「ネコといえば魚」のイメージが強くあります。

これは、日本人が魚をよく食べるので、一緒に暮らしていたネコも食べるようになったことが理由のようです。

キャットフード「カルカン」の販売元マースジャパンによると、国内で販売されているキャットフードの9割は魚を使っていて、世界的に見ても突出して割合が高いそうです。

日本では魚を使っていないと飼い主が手にとってくれないようで、「ネコの好物＝魚」が常識となっていることがわかります。

魚をあげると喜んで食べるネコですが、魚を主食にすることはいろいろと問題があります。

マースジャパンの学術渉外室長で獣医師の川重結子さんに、その理由を聞きました。

イエローファットという病気

――肉食動物だから、魚ばかり食べても問題ないのでは？

「ネコはタンパク質の大部分を肉から摂取します。炭水化物をまったく摂らなくても元気に生きていけることが研究によって分かっています。とはいえ、人間と同じでバランスのよい食事を摂らないと病気になってしまいます」

――魚ばかり食べているとどうなるんですか？

「アジ・サバなど青魚に含まれる『不飽和脂肪酸』を摂りすぎると黄色脂肪症（イエローファット）という病気になります。皮下脂肪が炎症を起こして痛むため、だっこなどを嫌がります。ただし、これは青魚ばかり偏って食べた結果なので、適量であれば問題はありません」

――じゃあ、ねこまんまはどうですか？

「人と同じものをあげるのはおすすめできません。人間には安全なものでも、猫にとっては有害なものもたくさんあります。ネギ類やコショウや唐辛子などのスパイス類は害が強く、命にかかわることもあります。ネコが必要とする栄養素が不足したり、欠如していたりもします」

――カルカンばかり与えればいいということでしょうか？

「カルカンのような総合栄養食は、必須アミノ酸やビタミン、ミネラル、食物繊維などの栄養素もすべて摂取できるので、これと水があれば十分です。ただ、ネコと飼い主のコミュニケーションや、クオリティ・オブ・ライフ（生活の質）の観点から、他の食べ物を与えるのもいいと思います。その際には1日の摂取カロリーの10％程度に抑えてくださいね」