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エボラ出血熱、研究施設がない日本 なぜ? できないことは?

 現在、日本でエボラウィルスを研究することはできません。G8諸国で未整備なのは日本だけです。施設稼働への声は高まっていますが、なぜ実現できないのでしょうか。

防護服の着脱訓練をする医師たち=2014年11月5日、大阪市都島区の市立総合医療センター、伊藤進之介撮影
防護服の着脱訓練をする医師たち=2014年11月5日、大阪市都島区の市立総合医療センター、伊藤進之介撮影 出典: 朝日新聞

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 現在、日本にはエボラウィルスを扱う研究施設はありません。G8諸国で未整備なのは日本だけです。施設稼働への声は高まっていますが、なぜ実現できないのでしょうか。


【動画】現場医師が語るエボラの恐さ 長崎大でエボラ出血熱訓練 出典: 長崎)長崎大でエボラ出血熱訓練 防護服の着脱確認:朝日新聞デジタル

自民党が早期稼働を提言

 自民党の委員会は2014年10月6日、危険性の高い病原体を扱う研究施設「バイオセーフティーレベル(BSL)4」の速やかな稼働を求めました。日本学術会議の調べでは、19カ国で40施設以上ありますが、G8諸国で未整備なのは日本だけです。

福岡空港国際線ターミナルでは、シエラレオネなどの滞在者に申し出を呼びかけている=2014年10月23日、福岡市、木村司撮影
福岡空港国際線ターミナルでは、シエラレオネなどの滞在者に申し出を呼びかけている=2014年10月23日、福岡市、木村司撮影

施設はあるけど使えない

 「BSL4」に対応できる施設は、すでに国内に存在しています。1981年に国立感染症研究所村山庁舎(東京都武蔵村山市)に、84年に理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)に建設されました。施設はあるのですが、稼働できていないのです。長崎大もBSL4施設の設置を目指しています。

エボラ出血熱の患者は防護服を着た医師や看護師によって専用のストレッチャーで病室に搬送される=東京都墨田区の都立墨東病院、上田潤撮影
エボラ出血熱の患者は防護服を着た医師や看護師によって専用のストレッチャーで病室に搬送される=東京都墨田区の都立墨東病院、上田潤撮影

危険な病原菌、地元住民が反対

 なぜ稼働できないのか。危険度が高い病原菌であることから、地元住民の反対が根強く、厚労省が「BSL4」に指定していないのです。感染研の施設は、危険度が一つ低い病原体を扱う「BSL3」施設として稼働しています。

エボラ出血熱対策で公開された防護服の着脱訓練。着脱を手伝う後ろの看護師も防護服を着る=2014年10月24日、名古屋市昭和区の名古屋第二赤十字病院
エボラ出血熱対策で公開された防護服の着脱訓練。着脱を手伝う後ろの看護師も防護服を着る=2014年10月24日、名古屋市昭和区の名古屋第二赤十字病院

治ったかどうか、わからない…

 「BSL4」施設がないと何ができないのか。エボラウイルスの感染は確認できますが、ウイルスを分離して起源や特徴を分析できません。治療している患者が完全に治ったかを調べる検査もできません。

エボラ出血熱への注意を呼び掛けるポスター=2014年10月28日、愛知県常滑市の中部空港旅客ターミナルビル
エボラ出血熱への注意を呼び掛けるポスター=2014年10月28日、愛知県常滑市の中部空港旅客ターミナルビル

漏れて感染者が出たことはゼロ

 これまで実験中に病原体が外に漏れて感染者が出たという報告はありません。感染研の西條政幸・ウイルス第一部長は「エボラ以外にも日本にない病気がいつ入ってきてもおかしくない。感染症対策の研究を進めていく必要がある」と話しています。

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