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すき家 「2店でまだワンオペ」市民団体調査 会社側は否定

 「すき家」は、過酷だと指摘されていた深夜の1人営業「ワンオペ」を今月から中止した。これを受け全国の店舗を調べた市民団体が15日、「2店でワンオペをしていた」と発表した。ただ、すき家を運営するゼンショーホールディングスは否定している。

市民団体のメンバーたちは、すき家を回り、深夜勤務の状況などについて従業員に話を聞いた=2014年10月11日、都内
市民団体のメンバーたちは、すき家を回り、深夜勤務の状況などについて従業員に話を聞いた=2014年10月11日、都内 出典: 朝日新聞

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 牛丼チェーン「すき家」が、過重労働と指摘されていた従業員1人による深夜営業「ワンオペ」を今月から中止したのを受けて、全国の店舗を調べた市民団体が15日、「2店でワンオペをしていた」と発表した。ただ、すき家を運営するゼンショーホールディングスは否定している。


アンケートは内部調査を行った弁護士らが実施。全国約3万3千人のアルバイト店員のうち468人を対象にし、回答率は49%。動画は朝日新聞の戸田拓記者作成 出典: 【動画】すき家バイト店員の不満が異常なレベル 再生の契機になるか - withnews(ウィズニュース)

7都道府県83店訪ねて調査

 調査したのは、弁護士らでつくる「ブラック企業対策プロジェクト」。11日午前1~5時、メンバーや賛同者が東京や大阪など7都道府県の83店を訪ね、ワンオペかどうかを従業員に聞きとった。結果はホームページでも公開している。

ブラック企業対策プロジェクトのサイト
営業時間の変更を伝える紙が貼られたすき家の入り口=大阪市西区
営業時間の変更を伝える紙が貼られたすき家の入り口=大阪市西区

2店が「ワンオペ」と回答

 調査に対し、都内の2店が「いまでもワンオペを実施している」と答えた。すき家は今月から深夜(午前0時~5時)のワンオペをやめ、人手が確保できない店舗の深夜営業を中止すると発表している。
 団体事務局の今岡直之さんは、「ワンオペをなくすと約束したのに、いまだに改善されていない。自主的な調査を求めていきたい」。今後は同業他社やコンビニにも調査を広げたいという。
 これに対し、ゼンショーの広報は「どう調査したのかはわからないが、指摘の2店は複数で勤務していたと確認している」と反論している。

ゼンショーHDの小川賢太郎社長(右)=2014年7月31日
ゼンショーHDの小川賢太郎社長(右)=2014年7月31日

目立つ外国人 「日本語ほとんど話せない人も」

 調査で新たな問題点も見えてきた。ある従業員は「深夜のワンオペは解消されたが、2人勤務の確保は午前6時まで。メニューが煩雑で、客も多い朝食時間帯はワンオペになる」。他店の従業員も「(深夜帯前の)午後10~11時はワンオペだ」と話す。
 外国人従業員の姿も目立った。14店を回った都内東部では、ほぼすべての店舗に外国人がおり、2人とも外国人の店舗も2店あった。ある従業員は「ほとんど日本語を話せない人もいる。接客ができず、2人勤務になっても楽にはなっていない」。従業員が女性だけの店もあった。

すき家の外観=2014年5月29日
すき家の外観=2014年5月29日
都内を調査した同プロジェクト事務局の佐藤学さん(27)は「取り組みは評価するが、過重労働の解消にはまだ課題が残っていると思う。ほかの飲食店チェーンやコンビニでも同様の状況はある。今後も継続的なチェックを続けていきたい」と訴える。
2014年10月12日:夜が明けるとワンオペ 深夜廃止の「すき家」、市民団体が調査 [朝日新聞紙面から]

一種の洗脳?過酷なブラックバイト

 こうした過酷な労働を、中京大学の大内裕和教授(教育社会学)は「ブラックバイト」と呼ぶ。「いまの若者たちは、厳しい経済状況の中で育ってきた。ワンオペのような働き方も当然のことのように受け入れてしまう。一種の洗脳だ」と指摘する。

ワンオペかどうかを調べるため東京都内の店を訪ねる調査員ら
ワンオペかどうかを調べるため東京都内の店を訪ねる調査員ら 出典: ブラック企業対策プロジェクト提供
有効求人倍率は上がってきているが、中心はパートなど非正規雇用の求人。正社員の需要は依然、低迷している。大内教授は「すき家の問題は氷山の一角。こんな厳しい労働環境で、若い人たちが結婚して子どもを産もうという考えになるわけがない。抜本的な対策が必要だ」と話す。
2014年10月12日:夜が明けるとワンオペ 深夜廃止の「すき家」、市民団体が調査 [朝日新聞紙面から]
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