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2014年10月12日

美術館でそこまで体験できるの? 若手学芸員の挑戦 ~アラ爆な人々

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真子みほさん

真子みほさん


アラ爆って?

 「芸術は爆発だー」ということで、芸術界隈→アラウンド爆発→アラ爆。知名度の点で、爆発的に人気が出る前後という意味も込めています。今後の芸術界を担うかもしれないアーティストやキュレーターの方々に、テレホンショッキング形式で次の人を紹介してもらいながら会いに行きます。

どんな人?

 今回は前回の彫刻家・大野綾子さんから紹介いただいた真子(まなこ)みほさん。練馬区立美術館で学芸員をしています。大野さんとは女子美大で同級生だったそうですが、当時はお互いあまり知らず、交流が始まったのは卒業後。真子さんが審査員を務めた大学企画の作品展に大野さんが出品したのが縁だったといいます。大野さんによると真子さんは「学芸員の仕事以外にもいろいろな面白いアートの活動をしていて、元気な人」だそうです。

彫刻家の大野綾子さん

 では早速、練馬区立美術館へ。西武池袋線の中村橋駅から歩いてすぐの場所にあります。

西武池袋線の中村橋駅すぐにある練馬区立美術館。現在はシェイクスピア展を開催中

西武池袋線の中村橋駅すぐにある練馬区立美術館。現在はシェイクスピア展を開催中

出典:練馬区立美術館ホームページ

こちらが真子みほさん。大学院在学中から練馬区立美術館で働き始め、7年目だそうです。大学時代、美術史を勉強していた人が多い学芸員の中で、真子さんが学んだのは「図学」という分野。遠近法の歴史など、視覚効果が作品の中でどう使われているかといった観点から絵画分析をしていたそうです。「美術を、個人的な意見は入れず、より客観的に、数学的に見たいと思ったんです」。

学芸員の仕事を語る真子みほさん

学芸員の仕事を語る真子みほさん

 現在は展覧会の企画の他に、同館の教育事業を担当。実は教育にはそれなりの縁が・・・。「母の家が教師家系で母も小学校の教員。私も教員免許をとったものの、実習に行った時に何かが違うと感じて」。美術に成績をつけることや、方針が国の政策によって変化することなどに違和感を覚え、教師の道は辞めたそうです。とはいえ、教育には関心が高かった真子さん、なりたかった学芸員、さらに教育担当と「いいとこ取りです」。

 イベントを企画する時は「その作家だからこそできることをやってほしい」。あえて教えることに慣れていないアーティストに講師を頼み、受講者と一緒に考えながらイベントを作っていってもらうそうです。これまでには、「音を形にする」ワークショップや、伝統的な日本刺繡体験教室などを開催。「アラ爆」で前回紹介した彫刻家の大野綾子さんも講師として招いたそうです。3日間かけて石の彫刻を制作する過程はかなりの重労働で、参加者からはつらいという声もあがったものの、3日目になると、石の様子を見ながら彫ることができるようになるなど、「開眼」する人も。他の場所ではできない体験に、これまで少なかった20~30代の参加者も増えてきたといいます。

石彫の美術講座。「最初はただつらいだけだった」そう

石彫の美術講座。「最初はただつらいだけだった」そう

出典: 練馬区立美術館提供

 2年前からは区内の学校への出張授業を始め、内容は先生と相談し一から決めているそうです。小学校の社会科の先生から「室町文化を勉強したので、水墨画に関する授業を」と依頼された際は、現代にもつながる水墨画の歴史を説明し、実際に水墨画を模写する授業をしたといいます。

 仕事が休みの日には、友人たちと集まり、作家を呼んで自分の作品について話してもらうイベントを不定期に開催。「お互いに知っていても、改めて作品のこととなると知らないことも多い。どうやって作るのか、何を考えているのかなどを聞くと新しい発見もある」。

 美術史を専攻しなかったため、研究を続け論文を書き…という学芸員の「本流」ではないことに、少し不安を覚えることもあるという真子さん。しかし、教育というフィールドにいることを生かし「生きる一つのツールとして美術というものがあることを提示したい」といいます。「実際は音楽でも何でもいいと思う。ただ作品をいろんな視点から鑑賞する過程は、社会を見ることにも通じていて、わかりやすい」。

 学生時代に学んだ図学の物事を少し離れたところから分析する考え方は、今の仕事にもつながっているという。目の前のことに、クールに、でも意欲的に取り組みながら、「美術を使って楽しく生きて行けたらいいやと思っています」。


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