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都電荒川線40年 消える赤子・女の情念… レトロ路線、作家を刺激

都電荒川線が40周年を迎えました。都内でも数少ない路面電車は、作家の創作魂も刺激する存在のようで、様々な名作が生まれています。

尾久を走る都電荒川線=2006年5月25日、東京都荒川区
尾久を走る都電荒川線=2006年5月25日、東京都荒川区 出典: 朝日新聞

都電荒川線が40周年を迎えました。都内でも数少ない路面電車は、作家の創作魂も刺激する存在のようで、様々な名作が生まれています。

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女性2人の激しい情念

坂東眞砂子『桜雨』には巣鴨・地蔵通り商店街が出てきます。一幅の掛け軸に秘められた女の情念とは。作品では、近くにある寺院や、染井霊園なども紹介されています。

出典:Amazon.co.jp: 桜雨 (集英社文庫): 坂東 真砂子: 本
巣鴨(豊島区)と言えば「とげ抜き地蔵」が思い浮かびます。正式には萬頂山(ばんちょうざん)高岩寺(こうがんじ)という、曹洞宗のお寺です。そしてその門前には「おばあちゃんの原宿」こと「巣鴨地蔵通り商店街」が広がります。坂東眞砂子の小説『桜雨』(95年)は高岩寺の境内や地蔵通り商店街の様子を、冒頭近くに描いています。
2007年3月25日:(東京物語散歩)坂東眞砂子『桜雨』 巣鴨・地蔵通り商店街 [朝日新聞紙面から]

都電走る街に突然現れた侍

荒木源の『ちょんまげぷりん』(原題『ふしぎの国の安兵衛』〈2006年〉)は、シングルマザーの前に侍姿の男が現れるお話です。しかも、この侍、料理が得意で見事に主夫をこなしてしまう。作品には、実在のお店も出てきます。

出典:Amazon.co.jp: ふしぎの国の安兵衛: 荒木 源: 本
物語散歩にも適する作品です。別の名前で描かれる実在のスーパーもあれば、「上池袋交差点のファミリーマート」と、妙に細かく記されている店もあって楽しい。
2011年10月26日:(東京物語散歩)荒木源『ちょんまげぷりん』 豊島区・JR大塚駅周辺 [朝日新聞紙面から]

異界から来た美しい助手

南條竹則の『魔法探偵』(2004年)には、南千住周辺の風景がたくさん出てきます。心ときめかせた相手が、実は「骨」だったという設定。現実と異界が混じり合います。

出典:Amazon.co.jp: 魔法探偵: 南條 竹則: 本
雪乃は美しく、彼は心ときめかせます。ところが彼女の正体は実は骨でした。遊女の骨ではないかとのこと。彼は不思議な香の力を借り、雪乃を誰が見ても人間にしか見えないようにしてもらいました。
2014年9月3日:(東京物語散歩:310)南條竹則『魔法探偵』 荒川区南千住 [朝日新聞紙面から]

大金持ちが持ちかけた途方もない計画

原宏一『東京箱庭鉄道』(2009年)は、東京の中に新たな鉄道を作るという壮大なお話です。大金持ちから、400億円の資金で鉄道作りを持ちかけられた主人公。物語では、都電荒川線が重要な役割を果たします。

出典:Amazon.co.jp: 東京箱庭鉄道 (祥伝社文庫): 原 宏一: 本
順平の周りには有能なスタッフが集まっていきますが、それでもやはり順調には進みません。そんな時利用した都電の荒川線が、順平たちの計画に光明を与えることになります。彼らは早稲田停留場から乗り込みました。この後終点三ノ輪橋まで移動します。
2009年12月2日:(東京物語散歩)原宏一『東京箱庭鉄道』 新宿区・都電荒川線早稲田停留場

産院を取り巻く奇妙なうわさ

京極夏彦『姑獲鳥(うぶめ)の夏』(94年)は、鬼子母神から法明寺境内が舞台です。産婦人科では、生まれた子供がいなくなる噂が立っています。実際の法明寺は、京都か鎌倉にいるような落ち着いたたたずまいです。

出典:Amazon.co.jp: 姑獲鳥の夏(2)【電子百鬼夜行】 電子書籍: 京極夏彦: 本
鬼子母神の北方に法明寺というお寺があります。鬼子母神から法明寺境内に至るあたりは、京極夏彦『姑獲鳥(うぶめ)の夏』(94年)において重要です。不思議な事件の発生した久遠寺医院のある場所として設定されているからです。
2008年9月2日:(東京物語散歩)京極夏彦『姑獲鳥の夏』 雑司が谷・鬼子母神 [朝日新聞紙面から]
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