お金と仕事
ドコモ社長「お客様にお戻り頂きたい」 iPhone戦で死闘の構え
19日に始まった携帯電話各社のiPhone商戦。新型端末の販売にどこより力を入れているのがドコモは、顧客奪還に向けて異例の積極姿勢だ。
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19日に始まった携帯電話各社のiPhone商戦。新型端末の販売にどこより力を入れているのがドコモは、顧客奪還に向けて異例の積極姿勢だ。
19日に始まった携帯電話各社のiPhone商戦。新型端末「6」と「6プラス」の販売にどこよりも力を入れているのが、国内最大手のNTTドコモだ。加藤薫社長は「ぜひともドコモにお戻り頂きたい」と、かつて失った顧客の奪還に全力を尽くす構えだ。
そもそも日本でiPhoneの販売を始めたのはソフトバンクが2008年の「3G」から、KDDI(au)が11年の「4S」から。これに対しドコモは昨年の「5s」「5c」からと大きく出遅れ、iPhoneめあての利用者の流出に苦しんだ。
携帯電話の料金プランは、2年契約を前提に利用料を割り引くのが一般的。2年前にiPhoneを買った利用者がちょうど契約更新の時期を迎え、各社にとっては他社から客を奪い取るチャンスだ。
更新時期を迎える旧型iPhoneの利用者がいるのは、auとソフトバンクのみ。ドコモが「取られた分を取り戻すチャンス」(関係者)と際立って意気込む理由はそこにある。
新iPhoneの予約が始まった12日。ライバル2社が端末価格を相次いで発表したのに対し、ドコモは「検討中」として発表を見送った。言わば、2社の出方を見る「後出しジャンケン」作戦だ。
料金を発表せずに予約を受け付けるのは異例で、ツイッターでは「ドコモの料金まだー?」と心配する声も聞かれた。
そして2日後の14日、ドコモがついに動いた。他社から乗り換える顧客のiPhoneを買い取って新端末の代金やポイントにあてる、下取りキャンペーンの強化を発表。割引額は最大4万3200円(税込み)で、通常時の2倍以上。身銭を切ってでも顧客を取り戻す姿勢を鮮明にした。
残る2社は、自社顧客の機種変更時の下取りしかなかったため、これに猛スピードで追随。ソフトバンクが16日、auも17日にドコモと同様のキャンペーンを発表した。しかも、iPhone以外のスマホやガラケーまで下取り対象に加えて応戦した。
ドコモは発売前日の18日になって、他社に遅れをとっていた自社顧客のiPhoneの下取りも始めると発表した。結局、「3社横並び」から大きく脱却するには至らなかった。
それでも、ドコモの加藤社長は19日、東京であった発売記念式典で「ドコモにiPhoneがなかった時に、残念だけども他社に、という方も過去にたくさんおられた」とあらためて認め、「そういうお客様にぜひともドコモにお戻り頂きたい」となりふり構わず「勝ち」にこだわる姿勢を見せた。
他社より抜きんでようともがくほど、泥沼の戦いに3社が沈んでいくiPhone競争。「業界の盟主」ドコモの次のカードが注目される。