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お金と仕事

バーバリーの値段が跳ね上がる? ブランド直営化で頭を抱える人たち

来年の秋冬物からは英バーバリー社が、自社で作った商品を日本国内でも直接売るようになります。世界的なチョコレート会社ゴディバも国内の店をすべて直営に切り替える方針を発表しました。どうして有名ブランドの直営化が相次ぐのでしょうか?

トレンチコートの裏地などに使われる「バーバリーチェック」は広く知られている
トレンチコートの裏地などに使われる「バーバリーチェック」は広く知られている 出典: 朝日新聞デジタル

目次

バーバリーがライセンス契約を解消

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アパレル大手の三陽商会が、英国のブランド「バーバリー」の製造・販売を来年の春夏物で終えると発表しました。

来年の秋冬物からは英バーバリー社が、自社で作った商品を日本国内でも直接売るようになります。

世界的なチョコレート会社ゴディバも国内の店をすべて直営に切り替える方針を発表しました。どうして有名ブランドの直営化が相次ぐのでしょうか?

トレンチコートの裏地などに使われる「バーバリーチェック」は広く知られている
トレンチコートの裏地などに使われる「バーバリーチェック」は広く知られている 出典:朝日新聞デジタル

まずはバーバリーと三陽商会の関係についておさらいしましょう。

 バーバリーは、英国で1856年に生まれた老舗高級ブランド。バーバリー社は自社で生産したトレンチコートなどを世界各地の直営店で売っている。日本では、三陽商会とバーバリー社が1970年にライセンス契約を結び、三陽商会が日本人の体形や好みに合った商品をつくってきた。

 90年代以降、価格を抑えた若い世代向けの「バーバリー・ブルーレーベル」や「バーバリー・ブラックレーベル」を発売した。三陽商会がバーバリーを扱う店は現在、百貨店を中心に数百あり、トレンチコートやワンピースなどが幅広い世代に人気という。
朝日新聞デジタル
幅広い世代に人気がある高級ブランド、バーバリーの直営店
幅広い世代に人気がある高級ブランド、バーバリーの直営店 出典:朝日新聞デジタル

バーバリーは三陽商会の年間売上高の約半分を占める基幹ブランドで、経営への影響は大きいとみられています。

百貨店側も困っているようです。

百貨店も頭を抱える。高島屋では全店の紳士服と婦人服の売上高の2%を占める「トップ級のブランド」。三越伊勢丹も「対策を検討中」という。ある百貨店関係者は「三陽商会製のバーバリーは仕立てや素材、ボタン位置まで日本人に合わせた、いわば国民的ブランド。他に代わるブランドがない」と嘆く。価格も直輸入品は2~3倍に跳ね上がるという。
朝日新聞デジタル

直営にする理由は

ゴディバのチョコレート
ゴディバのチョコレート 出典: 朝日新聞

ゴディバの日本法人の担当者は「直営店とするメリットの方が大きいと、総合的に判断した」と話しているそうです。

メリットとはいったいどんなものなのでしょうか。ライセンス契約で軌道に乗ったのを機に直接販売に切り替えて収益を増やす狙いや、ブランドイメージの保護などを考えているようです。

 ライセンス契約は、手っ取り早く日本市場を開拓できる手法として欧米のブランド権利者にとっては一般的だ。契約を結んだ国内企業も、自らブランドを育てずに国内市場で優位に立てる利点があり、80年代以降に広がっていった。

 しかし、90年代に入ると、契約を解消する動きが増え始めた。販売が軌道に乗ったのを機に、ブランド権利者が直接日本で販売することで収益を増やそうと考えるようになったからだ。「ブランドが手軽に買える日用品まで広く使われると、高級イメージが崩れかねないと、権利者は管理を強めようとする」(商社担当者)事情もある。英バーバリー社とアパレル大手の三陽商会が約40年にわたるライセンス契約を来年6月で解消するのも、こうした流れの一環だ。
朝日新聞デジタル

積極買収で攻める企業も

三井物産が米ワシントンに出す「ポール・スチュアート」の店舗イメージ
三井物産が米ワシントンに出す「ポール・スチュアート」の店舗イメージ 出典:朝日新聞デジタル

直営化の動きに対抗して、大手商社などはブランド買収に動いています。

【三井物産】
米紳士服ブランド「ポール・スチュアート(PS)」の運営会社の全株取得

【伊藤忠商事】
米バッグブランド「レスポートサック」の全世界での商標権を取得
米「アウトドアプロダクツ」のアジアや中東など計19地域の商標権を得る

【住友商事】
イタリアの婦人服「ナラカミーチェ」など2ブランドを取得

【デサント】
英「アンブロ」や仏「ルコックスポルティフ」など欧米中心に6ブランドを12年までに取得

過去の苦い教訓

デサント東京オフィスの玄関前にあるロゴマーク
デサント東京オフィスの玄関前にあるロゴマーク 出典:朝日新聞デジタル

最後に挙げたデサントは過去の教訓を経営に生かしています。

 独「アディダス」と結んでいた国内向けのライセンス契約を打ち切られた。デサントは、日本人の好みにあった色合いやサイズのウエアや靴などを企画し、「日本向けアディダス」を販売してきたが、契約解消で一切できなくなった。翌年度の売上高は前年度比21%減の677億円まで落ち込んだ。
朝日新聞デジタル

三陽商会は今後、自社ブランドや他のライセンスブランドなどに力を入れていくことで、2017年は営業黒字を見込んでいます。これからに注目です。

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