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kazzさんからの取材リクエスト
大分前から「○○させていただきます」という言葉がTVでも普通の会話でも聞かれ、気になります。
【リクエストに回答】「させていただく」が気になる
「させていただく」という言葉が気になるのですね。そのことを論じた記事がありましたので、回答致します。

出典: imasia
取材リクエスト内容
大分前から「○○させていただきます」という言葉がTVでも普通の会話でも聞かれます。また、「個人的には」という言葉も聞きます。
時代背景、社会的背景、いつ頃から多くなった、等、整理して、且つ言語的な良し悪しを解説して欲しいです。
わたしは、こういう言葉を使わないようにしています。逃げているように感じるかは。
kazz
記者がお答えします!
「させていただく」という言葉が気になる、という取材リクエストがありました。
そのことを論じた朝日新聞の4年前の記事「『させていただく』は変ですか?」(丹治吉順記者)がありましたので、引用しながら回答致します。
まず当時、約4千人に聞いたアンケート結果がこれです。
変だ 19%
どちらかといえば変だ 36%
どちらかといえば変じゃない 29%
変じゃない 16%
「へりくだっているようで、上から目線の言葉。経営者などから『この条件でさせていただく』といわれると、逆らうなという強いプレッシャーを感じる」(東京、50歳女性)という声が代表的。「ていねいに見えて、これほど一方的で押しつけがましい言葉はない」(奈良県、78歳男性)、「初めて聞いたときはバカにされているのかと面食らった。公務員や年配の人も使っているが、何と軽薄なと思う」(千葉県、26歳女性)など激しい意見も。
逆に「違和感があるという意見を初めて知った」(東京、43歳女性)という声も多い。「何の抵抗もなく常時使っている」(神奈川、72歳女性)、「どうおかしいのですか?」(大阪府、45歳男性)などがそうだ。

誰が話しているのが気になったかという点では、橋本龍太郎元首相、鳩山由紀夫前首相の名前がよく挙がった。この言葉は左欄にあるように、「相手の許可を得て自分が恩恵を受ける」という意味合いがある。政治家が使うと、「そんな政策、許可した覚えはない」という反感を呼び起こすのだろう。

「会議の原稿で『させていただく』を全部『いたします』に直したが、本番ではつい『させていただく』と言ってしまった」(東京、61歳男性)、「目上の人と商談する際にこの言葉は有効で、話がスムーズに進むことが多かった」(東京、65歳男性)。
ややこしいのが、明示的ではないが暗黙の許可があるといった「見立て」が可能な点だ。「本日、休業させていただきます」という使い方では、別に客は明示的に許可してはいないが、暗黙に認めていると見立てる余地はある。これがこの言葉の増殖を生んでいるようだ。

「『させて』の主体は相手、『いただく』の主体は自分という、構造からくる言葉の響きを理解することが大事です」と、『問題な日本語』などの編著書がある北原保雄・筑波大名誉教授は話す。
「相手の許可を得て、自分が恩恵を受ける」場合に使うのが、「させていただく」の本来の用法。例えば自分が面会したい相手に許可を得て、その人の部屋に入る際、「入らせていただきます」と言うのは正しい。「しかし許可を得る相手がいない、または漠然としている場合には慇懃無礼(いんぎんぶれい)に聞こえます」
「断定的に言い切ることを避けたがる風潮が、過剰な『させていただく』の背景にあると感じる」と北原さん。政治家が乱用する理由もそれだとみる。
「最近の政治家は自信がないのか、国民の許しを得て、という気持ちが強くてこう言うのだと思う。しかし国民が許可してもいないことについて、この言葉を使うのはよくない。政治家はリーダーなのだから、『こうしたい』と言い切るべきでしょう」