「聖なる五輪」破るきっかけに 応援しながら考えたい〝五輪の疑問〟

国じゃなく「自分のため」声あげる選手たち

木佐貫 将司
朝日新聞記者

米国のシモーン・バイルス選手は、団体総合決勝の途中から「精神的ストレス」を理由に演技を断念した。チームメートたちは笑顔で受け入れ、ツイッターに「私がこれまで成し遂げたことや体操選手であることよりも、私の存在自体が大切なものであると気づかせてもらいました」とつづった=2021年7月25日、有明体操競技場、細川卓撮影

東京五輪では、選手たちの活躍が続いています。自国開催ということもあり、テレビにかじりつき、声援を送ることもしばしばです。始まってみると普通に盛り上がっているように見える五輪ですが、スポーツとジェンダー・セクシュアリティが専門で関西大学文学部准教授の井谷聡子さんは「コロナの前から、五輪自体を疑問視していた」と、厳しく指摘します。〝復興〟や〝多様性〟を「都合よく使っていないでしょうか」と投げかける井谷さん。選手の素晴らしいパフォーマンスが繰り広げられている今だからこそ考えたい〝五輪の疑問〟。そして、そんな中で生まれた〝変化の兆し〟について、井谷さんに聞きました。

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