「自粛警察」を突き動かした「ケガレ」の論理 民俗学者が読み解く
ウイルスへの恐怖が引き起こした人権侵害
新型コロナウイルスの流行後、「自粛警察」という存在に注目が集まりました。感染拡大を防ぐため、本来であれば、自主的に行われるべき店舗の休業。しかし一部の人々は、営業を続ける小売店などに様々な嫌がらせをし、あたかも「制裁」を加えるかのように振る舞ったのです。「背景には感染症への恐怖と、予防に協力的でない人間を、『ケガレ』として排除しようとする心理がある」。民俗学者・畑中章宏さんは、そう読み解きます。古来続けられてきた、災禍をしのごうとする風習と比較しながら、その本質についてつづってもらいました。