「不審者」扱いされる父親、前兆となった「あいさつしないルール」
令和の時代に入って「ネット炎上」の主役に躍り出たのが「子どもと一緒にいる父親が〝不審者〟として通報される案件」だ。実は、平成の時代、マンションの住民同士の「あいさつ禁止」という前兆となる事件が起こっていた。他人を自分たちに不安をもたらす危険な存在としてしか捉えられない「他者の不審者化」と、直接的な関わりを避けて行政に指導や懲罰を丸投げする「コミュニケーションの権力化」。立場が変われば自分が排除される側になるのにもかかわらず、多様性の尊重が叫ばれる時代にあって境遇の異なる人々への想像力が育まれにくくなっている。(評論家、著述家・真鍋厚)