7年後に発覚した双極性障害 それでも家族が壊れなかった理由

岩崎 賢一
朝日新聞VMエディター

海空るりさんは、病気になったときに一番知りたかったことは、同じ病気の人がどのような経過や暮らしをたどったのかということでした。患者や家族が必要な情報は何か。著書「うつ時々、躁」に詰め込まれています。

 仕事にやりがいを感じ、帰宅が深夜になることが当たり前だったのに、突然起き上がれなくなり、「うつ病」と診断される。そして7年後 実は「双極性障害」(双極症)と分かる――。「病気になったばかりのころ、同じ病気の人が書いた闘病記を必死に探しました」。そう振り返る海空るりさんが、今年、自身の闘病記を一冊の本にまとめました。ひどい時は、ネットで本を買いまくり、1000万円のクルーズ旅行を予約したり、1億円の家を買おうとしたりしたことも。それでも、夫と小学生の子ども2人の家族が崩壊せず、「寛解」にたどり着きました。適切な治療や福祉サービスなどソーシャルリソースの存在と、それを知るための人間同士のネットワークの大切さについて考えます。

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