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和菓子なのに「どこからどう見ても、あの少女」 美術館の企画が話題
青と黄色と、白い丸ーー。シンプルな色合いの丸い〝和菓子〟が、どこからどう見ても、あの名画にしか見えないと話題になっています。企画した美術館に話を聞きました。
SNSで話題になっているのは、徳島県鳴門市にある「大塚国際美術館」が、館内のカフェで提供している期間限定の和菓子です。
白あんをベースに作られた丸い和菓子で、うすだいだい色に、青色と黄色いリボン状の「ターバン」を添え、中央に小さな白い丸で作った「真珠」がちょこんとついています。
そう、これは、フェルメールの人気作品「真珠の耳飾りの少女」の横顔をモチーフに作られた特製の和菓子。
シンプルながらぱっと見て分かる再現度の高さに、SNSでは「めっちゃイイ!」「すごいかわいい」「ほかの絵でもやってもらいたい」など注目が集まりました。
大塚国際美術館が、10月12日から3日間の限定で提供していた和菓子で、急きょ10月中の土日に各日30個提供するよう期間を延長するほど好評になったものだそうです。
なぜ、フェルメールを和菓子に?
広報の天野真弓さんによると、「芸術の秋、食欲の秋を楽しむ アートをイート!」というコンセプトの一環で、フェルメールの誕生日が10月31日とされることにちなんで企画したメニューだそうです。
フェルメールの中でも特に人気が高い作品であり、「ひとめ見て、『あの名画!』と分かる」モチーフとして、「真珠の耳飾りの少女」を選びました。
「阿波の名工」に認定されている鳴門市の菓舗ふくおか(福岡賢治氏)の協力を受け、何パターンも試作してもらい、見た目はかわいらしく、絵画をイメージできるものに仕上げてもらったそうです。
「真珠の耳飾りの少女」を和菓子にしたのは今回が初めてでしたが、「大塚国際美術館では、これまでも、名画を『見る』だけではない楽しみ方を、いろいろと提案してきました」と天野さん。
過去にはカフェやレストランで季節限定のエドヴァルド・ムンクの「叫び」を表現したどら焼きや、料理好きだったクロード・モネのレシピを再現した「モネランチ」なども企画したことがあるそうです。
「真珠の耳飾りの少女」の和菓子が好評となったことについて、天野さんは「こんなに話題にしていただき、驚いており、うれしく思います。この和菓子は期間限定の予定ですが、いつ来ていただいても、名画を楽しめるメニューは他にもございますので、ぜひご来館ください」と呼びかけます。
11月24日まではミケランジェロの故郷の味をイメージした「ミケランチ」を提供しているそうです。
大塚グループ創立75周年事業として、清涼飲料水「ポカリスエット」などで知られる大塚製薬の創業の地に設立した大塚国際美術館。
特徴は、陶板で原寸大に再現した世界中の名画を楽しめることです。
最高1300度の高温で色を焼き付け、「2000年はそのままの色と形で残る」という特殊技術を用い、オリジナル作品の絵の具の盛り上がりなどまで再現されているといいます。
常設展示している陶板名画は1000点あまり。優しくなら触れても大丈夫といい、ほかの美術館とは違った絵画の楽しみ方を提案しています。
その一つ、毎年夏~秋に開催される恒例の「#アートコスプレフェス2024」(11月24日まで)では、展示されている名画を間近に見ながら、自分も衣装や小物を身に付けて名画の「主役」になれる体験ができると評判のイベント。
好評のフェルメールの「真珠の耳飾りの少女」のほか、今年はフラゴナールの「ぶらんこ」などがコスプレ体験のラインナップに並んでいるそうです。
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