ネットの話題
常温保存できる豆腐、作ってるのは森永乳業 能登の炊き出しでも活躍
能登半島地震の炊き出しでも活用されたという商品について取材しました
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能登半島地震の炊き出しでも活用されたという商品について取材しました
牛乳やチルド飲料、アイスクリームなどを手がける森永乳業。そんな会社が「常温保存できる豆腐」を半世紀近く前から販売しています。牛乳で培った技術を生かして開発したもので、能登半島地震の炊き出しでも活用されたという商品について取材しました。
スーパーに並ぶことはなく、宅配とECサイトでのみ販売している「森永 絹とうふ」と「森永 絹とうふしっかり」。
紙パックに無菌充填するロングライフ製法を採用することで、常温で最長216日もの長期保存が可能な商品です。
豆腐を買い物に行けなかった時や、もう1品足りない時だけでなく、もしもの時の備蓄食品としても活用できます。
「牛乳で培ってきた技術を使ってお客さまに喜んでいただけるものを作りたいと検討した結果、もともと日持ちせず、かつ、日本人になじみの深い食品というところから豆腐への応用が発案されました」
そう話すのは、ミルク事業マーケティング部のマネージャー・馬渕景士さんです。
牛乳は「生鮮品で腐りやすいもの」というイメージがあり、冷蔵庫がなければ保存は難しいとされてきました。
そんな中、「安定的に安全な商品を届けたい」との思いから、通常より長く品質保持が可能となるロングライフ化を研究。
食品の殺菌と容器の殺菌を別々に行い、無菌環境下で充填・包装することで、保存料や防腐剤を使用せずに常温で1カ月以上の長期保存を可能にし、おいしさと長持ちを両立させる方法を確立しました。
そして1972年、離島や長期航海船舶向けの商品として、6週間保存可能な牛乳「きたぐに」を発売。
5年後の1977年、この技術を応用して「TOFU 絹ごしとうふ」を海外でテスト販売し、翌年から本格的に輸出を開始しました。
国内向けには1989年に「森永絹ごしとうふ」として発売。
当初、国内では豆腐は冷蔵での販売が義務付けられていたため冷蔵で売っていましたが、法改正を受けて2019年1月からは、常温保存可能品として売り出しています。
「森永とうふ」は街のスーパーや食料品店では販売しておらず、Amazonや楽天などのオンラインストアと、森永乳業の通信販売・宅配サービスのみで取り扱っています。
その理由についてはこう説明します。
「商品の見た目や特長が一般的な豆腐とは異なるので、ただ店頭に置くのみではなく利点や商品特性をしっかりとお客さまにお伝えした上でお届けしたいという考えから、宅配を中心に販売しています」
常温保存できる豆腐の認知度がまだまだ低いという点が理由としてあるそうです。
「日常の食卓でご利用いただきつつ、災害など非常時にも備えるローリングストック法をおすすめしたい商品です」と馬渕さん。
今年発生した能登半島地震では、石川県野々市市でのみそ汁炊き出しで活用されました。
地域包括連携協定先である野々市市からの相談を受け、同市食生活改善推進協議会主催の炊き出しに協賛。現地からはこんな声が寄せられたそうです。
「避難生活ではどうしても塩分過多の食事に偏ってしまう中で、みそ汁は野菜やたんぱく質がとても身体にやさしくありがたい」
「常温であることも保管場所を選ばずありがたいが、何より日持ちすることで使い勝手が良い」
森永乳業のホームページでは、備蓄食材としての活用法も紹介。
「南極料理人」の西村淳氏とタイアップした「とうふトリュフ」「豆腐×ポテトチップス おかず」などのレシピが公開されています。
「長期常温保存できて、豆の豊かな風味と豆腐のなめらかなおいしさをお楽しみいただける、これまでの豆腐の概念が変わるような一品を、ぜひお試しください」
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