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〝巻き込まれ〟以外にも…エスカレーター事故を防止するための注意点
身近な移動手段の一つであるエスカレーター。一方で、時に事故も発生し、安全への意識が高まっています。利用者はどんなことに注意すればいいのでしょうか。一般社団法人日本エレベーター協会を取材しました。(朝日新聞デジタル企画報道部・武田啓亮、朽木誠一郎)
昇降機事業の健全な発展と利用者の安全確保に取り組む一般社団法人日本エレベーター協会は、安全、快適にエスカレーターを利用するために、以下について「お願い」をしています。
1つ目は、「ステップの上を歩いたり、走ったりしない」こと。「バランスを崩したり、つまずいたりして、転倒するおそれ」や、「他の利用者に接触して転倒させたりするおそれが」があるためです。
歩いて上り下りする利用者がよく見られますが、同協会や鉄道事業者などでは、エスカレーターの歩行禁止を呼びかけているということです。
2つ目は、「ベビーカー、カート、車いす、台車などは、乗せない」こと。「エスカレーターが思わぬ原因で急停止したときの落下や転倒のおそれ」があるためです。
3つ目は、「ステップの黄色い線の内側に乗る」こと。黄色い線の上に足を乗せていると「くつ、長ぐつ、ビニール製のサンダルなどが巻き込まれ、思わぬケガをするおそれ」があるためです。
4つ目は「移動手すりにつかまって乗る」こと。つかまっていないと、「バランスを崩したり、エスカレーターの急停止や、他の利用者との接触により、転倒したりするおそれ」があるためです。
5つ目は「衣類のすそに注意する」こと。同協会によれば「ステップ周囲の隙間、降り口のくし部に衣類が巻き込まれると危険です」。また、「ロングスカート、着物など、丈の長い衣類をご着用の方は、衣類がエスカレーターに触れないように気をつけてください」と注意喚起します。
ほかにも、ステップの溝に挟まって抜けなくなることがある「ピンヒールのくつ」は注意が必要です。破損やエスカレーターの急停止の恐れがあるため、「傘の先など細いものをステップの溝に差し込まないで」とも呼びかけます。
また、よくアナウンスされることですが「乗降口付近では、立ち止まらないでください」。これは「他の利用者の通行を妨げて転倒事故になるだけでなく、利用者同士の接触が原因で思わぬ事故につながることもある」ため。「安全のために、エスカレーターの乗降口付近は広くあけてください」とします。
エスカレーターでの喫煙も禁止です。これは、「たばこの火がステップの隙間からエスカレーターの内部へ落ちて、火災の原因になる」ことがあるから。
また、前述したようにエスカレーターでの歩行や走行は禁止なので、追い越しも禁止です。「立ち止まって利用を」と同協会。
「片側空け」はよく議論になりますが、「ケガをしている人、体の不自由な人のためにも、片側歩行はお止めください。片方の移動手すりにしか、つかまることのできない方もいます」(同協会)。
目の前でエスカレーターの事故が発生した場合、どうしたらよいのでしょうか。
服などが巻き込まれるなどした場合、同協会は「まずは声やジェスチャーなどで周辺の方に状況を伝えることが第一です」とします。
「各エスカレーターには、乗るところと降りるところの2カ所に『非常停止スイッチ』が設置されており、所有者・管理者の責任でもって作動させるのですが、緊急時は現場に居合わせた方にスイッチを押していただくこともやむを得ないと考えます」
居合わせた人がスイッチを押す場合、二次被害などを防ぐため、他の利用者に「非常停止ボタンを押します」「エスカレーターを停止させます」などと声かけをしてほしいとのこと。
そして、「施設の警備員等に声かけいただけると、救急、周辺安全確保、復旧などがスムーズに進むと思われます」と話しています。
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