グルメ
砂肝の〝こぶ〟ってなんですか! 使い慣れない食材が教えてくれた
できたてをフライパンから直接食べちゃうと……「うまー!」
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できたてをフライパンから直接食べちゃうと……「うまー!」
料理をつくるのは好きだけど、オリジナルな料理は得意じゃない。
そんな記者は、たまっていくレシピ本を横目に、気付きました。そうだ、朝日新聞紙面に掲載されている「料理メモ」でも、これまで出会ったことない料理にも出会えるじゃないか。
今回は「砂肝とニラの炒めもの」(9月13日掲載)に釘付けに。
そういえば砂肝って、調理したことない。初めての砂肝調理に挑みました。
東京都在住の記者。9月下旬、都内に89店舗展開するスーパー「サミット」に必要な食材の買い物へ。レシピをみると、家にないものは砂肝とニラだったので、スーパーにはそれらを買いに行きました。
普段の料理で砂肝を使ったことがなかったので、そもそも精肉売り場のどのあたりにあるのかまったくわからず、見慣れたスーパーなのにキョロキョロ。鶏肉エリアの最上段に置かれていました。
ちなみに手近なところにあるのは挽き肉、豚バラ、薄切りロース、鶏もも肉など、普段使いするお肉ですね。
驚いたのはそのお値段。私が買った物は239グラム(砂肝6個)で税込み216円でした。思ったより安い。我が家でよく使う鶏もも肉は、一枚だいたい250~300円ほどです。
ただし、この値段の感覚は本当に人によるなあと思ったのが、自宅で夫に「この砂肝いくらだと思う?」と値段部分を隠して見せたときのこと。夫、「198円くらい?」。
……私より食材の買い物頻度の少ない夫の方が感覚が合っていました。
今回のレシピ「砂肝とニラの炒めもの」の材料は、砂肝、ニラ、調味料はオイスターソースとしょうゆ、酒、塩です。
料理メモのレシピにざっと目を通したところ、一つ、初めて見るワードがありました。
《砂肝は洗います。こぶのところに深さ1cmの切り込みを2~3カ所入れてから厚さ2~3mmの薄切りにします》(レシピより引用)
こぶ?
この料理メモの筆者、料理研究家・石黒弥生さんは「食材の形を言葉でどうやって表現するか、いつも苦心している」といいます。
今回、「こぶ」と表現された「砂肝の膨らんだ部分」については、「ここに切り込みを入れると、加熱した際に全体が広がって食べやすくなります。かみ切りやすさも考慮しての、下ごしらえの手順です」といいます。
ちなみに、砂肝を使ったレシピの中には、銀色の膜を取り除くよう指示しているものも見かけます。石黒さんは「この膜は硬そうに見えるものの、筋張っているわけではなく、それほど口にも触らないので、私は取り除くことなく、そのまま使っています」。
「スーパーなどの店頭では、砂肝をすでに3~4㎜の薄切りにして販売しているものもありますが、これをそのまま炒めると、親指の先ほどに小さくなってしまい、食べにくく思います」とのことでした。
さて、「砂肝とニラの炒めもの」のレシピで私が好きだったポイントの一つは、材料がとにかく少ないこと。まな板を何度も洗わなくていいのは大きなポイントです。
火を使う段階で、レシピに登場したのは「からいり」という表現。
《フライパンに砂肝と塩ひとつまみ、酒を入れ火にかけ、からいりします》(レシピより引用)
フライパンがあたたまった段階で油もしくは多めの水分がひかれていないと、なんとなく不安な私ですが、この「からいり」の効果はどのようなところにあるのでしょうか。
石黒さんは「から煎りの目的は、水分を飛ばし、砂肝の旨みを凝縮するためです。砂肝に水が付いていると、油を引いて炒めた場合、水が跳ねることがあります。酒をかけて、から煎りすると、臭みを除くことができます」と解説します。
その後も、レシピ通りに次々と食材、調味料を混ぜ合わせていき、「料理メモ」の「調理時間15分」の記載通り、15分以内に完成しました。
お行儀はよくありませんが、味見と称してと、砂肝とニラを合わせてフライパンから直で口に運ぶと、「うまー!」。
砂肝のこりこりの食感と、ニラの風味、オイスターソースの香りがたまりません。
私はお酒を飲みませんが、多分ほしくなる味。
2歳と7歳の子どもたちは多分まだ砂肝のおいしさはわからないだろうな…。でも帰ってきたらちょっと食べさせてみよう。
普段の料理では使わない食材を使うと、色々と学びも大きい。
新鮮な情報、目新しい情報って、意識しないと入ってこないなあ……などと改めて感じました。
◇
この連載では、朝日新聞朝刊に毎日掲載されている「料理メモ」を作りつつ、料理を通じて見えてくる生活の風景を綴ってみようと思います。
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