お金と仕事
炎天下の建設現場「熱中症なくしたい」 現場発ゼリー、名前に説得力
「直射日光を浴びながら重労働。そら大変なわけですよ」
大阪市に本社を置くゼネコン「三和建設」が販売している熱中症対策のゼリーがあります。炎天下で日々作業をしている会社が作ったゼリーには、なんだか効果が期待できそう……。インパクトある名前を含め、商品が誕生するまでの経緯を聞きました。
2021年に販売が始まったそのゼリーの名前は、「ゼネコンがつくった4Kしおゼリー」。今年で3シーズン目に入ります。
商品を企画した三和建設大阪本店長の川口秀夫さんは「年々知名度が上がり、業界内の方からのリピート購入もあります」と話します。
2年で累計50万本が販売されたゼリーですが、開発のきっかけは、異業種交流にありました。
ゼリーの製造は、岩瀬コスファ(化粧品原料の研究、企画、開発)が担っていますが、そもそも岩瀬コスファは三和建設の顧客でした。「工場の建設を請け負い、やりとりする中で担当者と飲み友だちになった」と話すのは川口さん。お酒の席で、建設業界の熱中症問題が話題にあがりました。
厚生労働省の「令和4年 職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」によると、職場での熱中症の死傷者数で最も多いのは「建設業」。827人中197人を占めます。また、2018 年以降の熱中症の死傷者の8割以上が7月と8月に集中しています。
「元々、コラボ出来たらいいねという話をしていたのですが、話が盛り上がり、(熱中症対策になるようなものを)開発してみようと意気投合した」といいます。
当初は社内だけで流通させていたゼリーですが、業界内にも話が広がり、一般販売にいたったのだそう。
川口さんはお酒の席での話が商品開発にいたったことを振り返り、「飲んでみるもんですね」と笑います。
15年以上建設現場にも立っていた川口さんによると、夏の現場は「かわいそうになるほどつらい」。
川口さんは、「直射日光を浴びながら重労働をするわけだから、そら大変なわけですよ」と実感を込めて話します。
骨組みを作ったり、コンクリートを流し込んだりして、建物の骨格をつくる作業の現場には、そもそも「影」がありません。
一方、骨格ができれは「影」もできますが、内装工事のときには影はあるものの、風通しが悪かったり湿度が高かったりして熱中症のリスクが高まります。
現場での熱中症対策は、塩そのものやタブレットを舐めることが多かったと言いますが「僕も経験あるけど、なかなかのどを通らないんですよ。舐めてもさらに水分をとられるような……」と川口さん。
その現場感覚もあって、「ゼリー」という形状をとったのだといいます。「のどごしもいいし、冷やしておけば体温を下げることもできる」
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