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レモン味の花びら? 三つ星レストランも愛用〝エディブルフラワー〟
最近、料理でも見かけるようになった食べて楽しむ花「エディブルフラワー(食用花)」。おしゃれなサラダやデザートに飾られているのを見ることもありますが、販売者は「そのおいしさも知ってほしい」と話します。一方、観賞用の花には農薬が使われていたり、野外の植物には有毒のものもあったりするため、食用と分ける注意が必要です。(朝日新聞デジタル企画報道部・小川詩織)
食用花である「エディブルフラワー」は、英語で「Edible(=食べられる)」の花という意味です。食用のために安全に栽培された花で、毒性がなく、無農薬・低農薬で育てられています。
野菜にも多いキク科をはじめ、40〜50種類ほどの花がエディブルフラワーとして流通しています。流通量が多いのは、ビオラやナデシコ、バラ、マリーゴールド、ペンタスなどです。
農薬不使用のエディブルフラワーを販売する「エディブルガーデン」の代表取締役、小澤亮さんに話を聞きました。
エディブルガーデンでは、50種ほどのエディブルフラワーを販売しています。
洗ってしまうと、花びらの形が崩れたり、ふやけたり、香りが飛んでしまうことも。洗わずに食べられるよう、栽培中に農薬を使用しないという特徴があるそうです。その使いやすさから、洋菓子店や三ツ星レストランでも愛用されているといいます。
飾りのように思われる食用花ですが、研究や調査などから実は多くの栄養素が含まれていることも分かっているそうです。例えば、ビオラには「ビタミンA」や「ビタミンC」、「ミネラル」などが、バラには「食物繊維」や「ビタミン類」が含まれているそうです。
飾りとして楽しむイメージが強い食用花。しかし小澤さんはツイッターのアカウント名に「食べられる花屋」と銘打って、「お花のおいしさ」を訴えています。
今月はじめには、「そのまま食べておいしい花が咲きました!」「正直なところ、おいしくないイメージがあるエディブルフラワーですが、栽培が大変なことさえ乗り切れば、食べておいしい品種もあるんです」と投稿しました。
そのまま食べておいしい花が咲きました!試食してみたい方はいらっしゃいますか?💡
— ryo ozawa|食べられる花屋 (@ryo_eflab) June 1, 2023
ゼラニウムとベゴニアです。ゼラニウムはレモン+ハーブ系の清涼感のある味🍋
ベゴニアは花びらはレモンなのですが、葉っぱはなんとなんとぶどうの味です🍇
もし反響があれば飲食店で試食できるようにしますね! pic.twitter.com/xKu0iAYMfS
エディブルフラワーは、サラダやゼリー、ケーキに載せてそのまま生で味わえます。フルーツと一緒に漬け込んでシロップにしたり、煮てジャムにしたりすることもできます。
小澤さんは「今年発表した品種には、花びらがレモンの味、葉っぱはブドウの味がするベゴニアもあります。単に飾りではなく、おいしいものだと知ってもらえれば」と話しています。
エディブルガーデンでは、食用花の取り扱いの説明やレシピも紹介しています。
しかし観賞用に育てた花は食べられません。たとえば花壇のベゴニアには農薬などが使われており、食用ではありません。小澤さんもツイッターでは「無農薬もしくは野菜と同じ基準の農薬量のものが、食用です」と返信しています。
観賞用に売られている花や、野外に生えている植物には毒性を持つものもあります。誤って食べて食中毒になる事例も確認されています。
たとえば、スイセンとニラやタマネギを間違えたり、イヌサフランの葉をギョウジャニンニクと間違えたりしてしまうことも。その場合、下痢や吐き気、嘔吐(おうと)の症状が出て、最悪の場合、死亡するケースもあります。
厚生労働省によると、2013年から22年の10年間で、有毒植物による食中毒が213件発生し、17人が死亡しています。
厚労省では、間違いやすい植物を写真付きで紹介するリーフレットをホームページでも公開し、「食用と確実に判断できない植物は、絶対に採らない、食べない、売らない、人にあげないようにしましょう」と注意を呼びかけています。
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