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増えるアニサキス食中毒、「生」に気をつけて 〝猫の手〟借りてPR

「しめ鯖なら大丈夫」「すぐ下処理すれば」誤情報を信じると…

ツイッターに投稿されたのは、かわいい猫がサンマのぬいぐるみを抱えている様子で……
ツイッターに投稿されたのは、かわいい猫がサンマのぬいぐるみを抱えている様子で…… 出典: 厚生労働省食品安全情報(@Shokuhin_ANZEN)より

目次

刺し身など「生」で魚を食べる機会が多い日本の食文化。そんな中で気をつけたいのが、増加傾向にあるアニサキスによる食中毒です。「すぐに下処理すれば大丈夫」といった誤った情報を信じて、食中毒になったケースがSNSでも話題になっています。厚生労働省もSNSで〝猫の手を借りて〟そのリスクをPRしています。発信に込めた思いを聞きました。(witihnews編集部・水野梓)

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酢や塩の調理で死滅しない

厚労省のツイッターアカウント食品安全情報(@Shokuhin_ANZEN)が3月にツイートしたのは、「酢や塩での調理でアニサキスは死滅しません!」と呼びかける内容でした。

しかし最も目をひくのは、投稿に添付された画像です。

「鮮度を徹底」「目視で確認」「冷凍/加熱が有効」とアニサキスへの有効な対策を紹介している画像に登場するのは、ふわふわした毛が特徴的な、なんともかわいい猫なのです。

ツイートには「猫パンチや猫キックではアニサキスは倒せません」というクスッとする文言も
ツイートには「猫パンチや猫キックではアニサキスは倒せません」というクスッとする文言も 出典: 厚生労働省食品安全情報(@Shokuhin_ANZEN)より

サンマとみられる魚のぬいぐるみを抱えたり、じっと見つめたり、猫パンチ・キックでやっつけようとしたりしています。

ツイートを投稿した担当者に取材すると、この猫は自宅で飼っているメスの「ことちゃん」。

食中毒の予防や食品のリコールといった消費者に知ってほしい重要な情報を発信していますが、なかなか「いいね」や「RT」が伸びずに苦戦していたといいます。

「動物のツイートなら関心を持ってもらえるかな、と担当者たちと話し合って採用が決まりました。思った以上のポジティブな反響があり、『アニサキス対策に勉強になった』という声もいただきました」と振り返ります。

生きたまま口にすると「アニサキス症」を引き起こすアニサキスの幼虫
生きたまま口にすると「アニサキス症」を引き起こすアニサキスの幼虫 出典:国立感染症研究所ホームページ

「すぐに下処理すれば」…誤情報も

アニサキス症を引き起こすのは、オキアミを餌とするサバやアジ・サンマ・サケ・イカなどに寄生する、体長2~3センチのアニサキスの幼虫です。

近年、魚介類に寄生するアニサキスによる食中毒は増加傾向にあります。厚労省によると、2020年は396、2021年は354、2022年は578の患者数(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000042953.html)でした。

しかし、実際の患者数はもっと多く、年間2万人という分析もあります。
<国立感染症研究所の杉山広・客員研究員らは18,19年の診療報酬明細書(レセプト)のデータを分析し、全国レベルの患者数を推計しました。18年は2万1511人、19年が1万7962人で、年平均約2万人という結果でした。統計数値の45倍以上です>
【関連記事】表面化は氷山の一角 増加するアニサキス食中毒、患者は年間2万人
しめ鯖なら大丈夫、鮮度がよくてすぐに下処理していれば大丈夫……といった誤った情報を信じてしまっている人もいるといいます。

調理で使う酢やワサビでは死なないため、有効な対策としては、冷凍や加熱でアニサキスを死滅させることが重要です。
<アニサキスに有効な対策>

・食酢・塩漬け・醤油・ワサビでアニサキスは死滅しない

・魚の内臓は「生」で食べない

・目視で確認して、アニサキスを取り除く

・冷凍(マイナス20度で24時間以上)・加熱処理(70度以上/60度なら1分)が有効

生きたままのアニサキスを口にしてアニサキス症になると、食後数時間で腹部の痛みや吐き気・嘔吐といった症状が出ます。胃カメラでアニサキスを除去するなどして治療します。

アニサキス症になると「立てないほどの痛みがある」と表現する人もいますが、その激痛はアレルギー反応によるものという指摘もあります。

食中毒予防、noteでも発信開始

梅雨入りした地方もあり、季節柄も気をつけたい食中毒。

厚生労働省では、5月にnoteでの発信も始め、消費者との接点を増やして情報を伝えています。

▼「家庭でできる食中毒予防!第1回」
https://mhlw-communication-gov.note.jp/n/nf62e75ceee3b

担当者は「役立つ情報を発信しているので、ぜひ厚生労働省食品安全情報のTwitter(https://twitter.com/Shokuhin_ANZEN)をフォローして下さい」と呼びかけています。

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