連載
#27 特別じゃない日
抽選で2等に当選した青年 「食費が浮く」と選んだのは米ではなく…
「特別じゃない日」をテーマにした単行本が発売された漫画家・稲空穂さん。ツイッターで発表して注目を集めた漫画「当たりくじ」に込めた思いを聞きました。
ドラッグストアの抽選会で2等を引き当てた青年。
「やった 食費が浮く…」と2等の賞品を見ると、「お米1年分orお好きなペットフード」の文字が。
迷った末に、自宅の猫用に高級ペットフードをもらうことに。
コンビニごはんをかき込む青年のとなりで、猫は一心不乱に高級フードに食いつくのでした。
幼いころ、家の冷凍庫に常備されていた箱アイスを1日ひとつずつ食べていました。
でも、父親と母親はアイスを食べないことをいつも疑問に思っていました。
祖父母が出してくれるお菓子や果物も同じで、「なんで買ってきたのに食べないんだろう?」と思っていました。
家族ができてから、その理由がわかった気がします。
自分が好きなものを好きなだけ選べていた時も楽しかったのですが、誰かの好きなものを選ぶことは倍楽しいものだなと、両親や祖父母のことを思い返しながら感じています。
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〈稲空穂=いな・そらほ〉 静岡県出身・在住の漫画家。会社員を経て2017年に「おとぎ話バトルロワイヤル」(KADOKAWA)でデビューし、「特別じゃない日」で日常をテーマにした作品に挑戦中。老夫婦や女子高校生、主婦、バイトの青年……それぞれの小さな幸せがつながっていく物語を描いていて、実業之日本社から第1集が書籍化され、7月に第2集「特別じゃない日 猫とご近所さん」が発売された。Twitterアカウントは@ina_nanana
withnewsでは原則隔週水曜日に、稲さんの漫画とともに作品に込めたメッセージについてのコラムを配信しています。
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