連載
#10 Y2Kと平成
再流行のルーズソックス、1年でボリューム倍に「いまは50センチ」
なぜボリュームアップしていくのか、の答えは。
Y2Kファッションがトレンドです。「2000年代」を示すY2K、2000年代ごろにトレンドだったファッションとして真っ先に思い浮かぶのがルーズソックス。制服に、だぼっとしたルーズソックスを合わせるのは定番だった記憶があります。現在ルーズソックスは、どのような売れ行きなのでしょうか。
全国に469店舗を展開するチュチュアンナ(大阪市)は2022年、前年比でのルーズソックスの売り上げは6倍になっていると話します。
じわじわと売り上げが伸び続け、本格的な波が来たのは昨年の春ごろ。高校生を中心とした若者が主な購入者だといいます。
「昔は100センチなどボリュームのあるものが主流だったと思いますが、現在の定番は40センチ。若干『クシュませた』ようなものも含めてルーズソックス、という認識になっています」と話すのは、靴下事業部の伊藤真純さん。
伊藤さんは、大阪・梅田のファッションビル「HEP FIVE」前など、若者が集まる場所と知られる場所やテーマパーク、SNSなどでファッショントレンドをチェックしていますが、ストリート系、ギャル系のファッションに、厚底靴とルーズソックスを合わせる若者をよくみかけるそう。
また、昨今、文化祭などの学校行事やテーマパークに行く際、制服に合わせて「写真映えアイテム」として、ルーズソックスを履く若者も多いと言います。
「イベントになると、ルーズソックスのボリュームはさらに増す感じもあります」
そこにはSNSの影響があると伊藤さんは推測します。「SNS世代は、写真にはえる格好を求めます。ボリュームのあるルーズソックスにはインパクトがあります」
また、興味深いのは、昨今のトレンドが始まった当初に比べて、ボリュームは徐々に増す傾向にあるということ。
靴下事業部で販売計画を担当する木村彰良さんは、「(2022年の)春先は23センチのものが主流でしたが、いまは50センチが売れ筋になっています」。売り上げにも「ダイレクトにきている」(木村さん)といいます。
なぜボリュームアップしていくのか。
冬だし、寒さ対策?と思いきや、木村さんの読みは違います。「Y2Kファッションのトレンドの一つでもある、丈の短いボトムス。このボトムスも徐々に短くなる傾向があるのですが、ボトムス丈が短くなればなるほど、バランス的には足元にボリュームを持って行くようになります」
販売現場の実感としてもルーズソックスがトレンドであることがわかりましたが、前回のルーズソックスブームは20年ほど前。
それまでの間、チュチュアンナでは、「都心の一部の店舗に置き、細く続けていた」といいます。そのため、20年ぶりに若者のアイテムとしてルーズソックスが復活したことについて木村さんは「うれしい」と話します。
現在、チュチュアンナで取り扱っているルーズソックスのほとんどが海外製。ただ、20年前の流行時は「国内工場からの仕入れが多かった」と話します。
では現在国内でルーズソックスを生産している現場はいま、どのような様子なのか。奈良県で靴下製造を90年以上続ける巽繊維工業所に聞きました。
【連載】Y2Kと平成
いま流行している「Y2Kファッション」。街中でルーズソックスを履いている高校生を見かけることも珍しくありません。広い層に2000年代の出来事や空気感への興味・関心が高まったこの機会に、当時の世情を振り返り「現代社会」を考えます。
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