連載
#42 どうぶつ同好会
「どうした語彙力!!」 ペンギン愛が強すぎ、すみだ水族館の掲示板
り、理性を失ったんですか…!?
「今年もペンギンの赤ちゃんが3羽誕生!」「かわいくてすごく……」ーー。ほっこりニュースが流れる「すみだ水族館」(東京都墨田区)の電光掲示板が話題です。「理性を失った」!? 「これが、愛」!? そんな掲示板のメッセージについて取材しました。
7月上旬、こんなツイートが話題になりました。
すみだ水族館、赤ちゃんペンギンの可愛さに理性を失った電光掲示板出してて良かった pic.twitter.com/BQsClFJqaF
— リアン (@DsnLiang) July 7, 2022
いいねは20万を超え、「これが、愛」「癒された」「駅のホームで吹き出しそうになった」「どうした語彙力!!」といったコメントが寄せられています。
投稿主のリアンさんは、「ペンギンの水槽を見下ろすエリアに電光掲示板を見つけ、赤ちゃんペンギンの紹介がされていたのでつい眺めてしまいました」と話します。
「大ニュースとしてお知らせされた感じがして、思わず笑ってしまいました。電光掲示板の他の内容も含めて、飼育員さんの愛情を深く感じました」
この電光掲示板は、2フロアあるすみだ水族館の上の階の、ペンギンプールに続くスロープの手前に設置されています。
すみだ水族館によると、電光掲示板は開館10周年を記念した企画「10年分のハッピーニュース展」をきっかけに、3月31日から設置されているそうです。
現在のメッセージが流れるようになったのは7月1日から。7種類のメッセージは全てペンギンに関するもので、どれも愛が詰まっています。
すみだ水族館広報担当の大橋諒さんは「水族館を愛するスタッフがみんなで考えました。大きな愛を言葉で表現した結果で、思いが高まってしまいました」と話します。
すみだ水族館では、開館から10年連続で計25羽の赤ちゃんが誕生しました。
その後、別の水族館に移動することもありますが、現在52羽いるマゼランペンギンのうち、20羽がすみだ水族館で産まれたペンギンです。
「完全屋内型の施設ですが、当館なりに試行錯誤を続けて繁殖に挑戦してきました」と大橋さんは振り返ります。
「10年連続で赤ちゃんが生まれてくれるということは、ペンギンがすみだ水族館という場所を『安心して子どもを産める場所』と思ってくれているからで、飼育スタッフの情熱や愛、環境作りが実っている結果だと思います」
電光掲示板は柱に設置されているためか、通り過ぎてしまう人も多いそうです。
しかし、中にはツイートを投稿したリアンさんのように立ち止まる来館者もいます。
流れるメッセージに気づいたお客さんの中には、「赤ちゃんなのに違いがあるんですね」と直接スタッフに話してくれたこともあったそうです。
広報の大橋さんは「あくまでもメインは生き物であり展示です。電光掲示板の企画は、生き物を引き立たせるように考えています」と話しつつも、「今回は着目いただいて大変うれしかったです。今後の『だいふく』『こまり』『しらたま』の成長もみなさまに見守っていただけると、よりうれしいです」とほほえみました。
今年誕生したペンギンのうち、「だいふく」は6月にペンギンプールにデビューしました。7月中には「こまり」「しらたま」もプールデビューを予定しているそうです。
すみだ水族館、実はSNSでたびたび「ペンギン相関図」が話題になります。
2021年12月に掲示された「すみだペンギン相関図2022」では、当時1年目の飼育スタッフだった「佐藤さん」がペンギンたちにキレられたり、おしりをつつかれたりすることが注目され、エールを送る人が続出しました。
ペンギンには警戒心があり、佐藤さんに限らず新人スタッフの「登竜門」のようですが、佐藤さんは特にリアクションが大きく、逃げられがちだったそうです。
今年2年目になった佐藤さんは、いまどうなっているのでしょうか?
大橋さんに聞くと、「ペンギンたちと過ごす時間が増え、佐藤なりに努力をした結果、今ではキレられることも少なくなり、ペンギンたちとうまく接して、歩み寄っています」。
「次回相関図を更新する機会があれば、佐藤とペンギンたちの関係性にどのような変化が起きたのか、ペンギンだけではなくて佐藤の成長も見ていただけたらうれしいです」
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