連載
#123 #父親のモヤモヤ
「ワンオペは家庭が壊れる」 2歳のかこちゃんに教えてもらったこと
冒頭の場面は、転職サービス「doda」などを展開するパーソルキャリアが実施した「オンラインワンオペ育児体験」の一コマです。
子どものいる「パパ管理職」は自宅で「ワンオペ」を体験。子育て経験のない「チャレンジ管理職」はオンラインでワンオペの様子をうかがう一方、「パパ管理職」が食事の準備をしている時間などに、子どもと遊ぶことでフォローする――。そんな試みです。
大里真一朗さん(29)は、「チャレンジ管理職」。かこちゃんは、「パパ管理職」の島田拓さん(37)の娘、島田夏瑚ちゃん(2)です。
パーソルキャリアでは 1月31日から2月14日まで「男性育休推進 ワーパパ体験プロジェクト」を実施中で、このワンオペ育児体験もプロジェクトの一環です。
プロジェクト全体では、約2週間にわたり、同社の男性管理職6人が、午後5時に仕事を切り上げたり、時短勤務をする社員にインタビューしたりしています。
同社の男性育休取得率は、今年度で約5割。会社が「推奨」する一カ月以上の人は15%です。プロジェクトを通じて仕事と家庭の両立のリアルを知ってもらい、育休取得を促すねらいがあると言います。ほかにも、「時間制約のある働き方」(同社)を通じて、マネジメントを見直してもらう意図もあります。
取材は2月1日。「オンラインワンオペ育児体験」の初日で、記者もオンラインで視聴しました。
午後5時に始まると、「変な汗をかいた」という「チャレンジ管理職」の大里さんは、半袖姿で登場しました。壁紙をキャラクターモノにしたり、かこちゃんが好きな「アンパンマン」の指人形を準備したり。「うまくできるのか、不安でしたので…」
「パパ管理職」の島田さんは、保育園にいるかこちゃんのお迎えに行って帰宅すると、夕食の準備に取りかかりました。
それから、約2時間。島田さんが夕食の準備や片付けなどの家事をしている間、大里さんは、かこちゃんのお気に入りのぬいぐるみ「モンキーちゃん」もまじえて、おままごとをしたり、図鑑を読んだり、「切り札」と呼ぶアンパンマンの指人形で遊んだりしました。
かこちゃんも「しんちゃん」と呼び、楽しそうに遊んでいました。
実は大里さん、春に第1子が生まれる予定です。ただ、育休取得については具体的にイメージがつかめていなかったそうです。
実際にワンオペをみた感想は「想像より負荷が高いです。こんな状況が続いたら家庭が壊れてしまうと思いました」。育休を取得することも、考え始めているそうです。
また、これまで午後8時、9時まで働くのが普通でした。午後5時に業務を終えるようになり「ふわっとした時間が減りました。何をするのか、時間を明確に使うことを意識するようになりました」
一方、画面の後方で手際よく料理をしていた島田さんは、ワンオペこそなくとも、普段から午後6時には業務を切り上げ、料理を担当しています。子どもが寝るタイミングで、残りの仕事に取りかかる日々です。
ただ、コロナ禍で在宅勤務がメインになる前までは、かこちゃんが寝た後に帰宅することもありました。業務にメリハリをつけることについて、「子どもと顔をあわせる時間を多くもつことの意味は大きいと思います」と話します。
今回の取り組みでは、普段は妻の貴恵さんが担当するお迎えも担いました。「登園時とは違い、家に帰る高揚感でいっぱいの娘に接したことが新鮮でした」と振り返っています。
男性の育休取得率は2020年度(厚生労働省調査)で12.65%。人手不足や収入減のほか、「職場の雰囲気」が取得を妨げているとも指摘されています。管理職の変化を促すことは、職場全体に影響を及ぼします。「職場の雰囲気」を変えていくための取り組みだと思い取材をしました。
さまざまな取り組みによって、男性の育休がより取りやすくなることを願います。
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