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リモート会議の風通しをよくする「8つの雑談」を提供 直球の解決策
「リモート会議の、風通しをよくしよう。」。そんなキャッチコピーとともに、「クラフトボス」を手がけるサントリーが、ユニークな会議アイテムを開発しました。その名も「ザツダンマシーン」。実際の扇風機につけられた「毎日でも食べたいもの」「スマホ内の写真で1枚見せるとしたら」といったテーマをきっかけに、雑談を生み出すのが狙いです。製作の中心になったのは、今春に新しい部署に異動した9年目の社員。「最初からリモートの職場で、コミュニケーションに苦労したのがきっかけ」と開発の経緯を語りました。
オフィスで実物を見るとインパクトがより分かる、高さ約1m、幅約75cm、奥行き約30cmのザツダンマシーン。中央の羽根の周りに雑談テーマが書かれたボードが取り付けられ、スイッチを押すと、羽根がルーレットのように回ります。
ボードのテーマは「毎日でも食べたいもの/飲みたいものは?」「子どもの頃の夢は?」「おすすめのコンテンツは?」「写真フォルダから1枚みせて?」「今日の夕飯、何にする?」「今、欲しいものは?」「メンバーに質問!」「今日の会議、絶対にこのセリフは言う!」の8つ。矢印の羽根が止まった先がお題となります。1日の「コーヒーの日」のキャンペーンに合わせ、プレゼント用に2台作りました。
製作したのは、サントリーのグループ会社であるサントリー食品インターナショナルです。中心となったジャパン事業本部コミュニケーションデザイン部の伊藤正明さんは、4月に別のグループ会社から異動してきたばかりでした。
――ザツダンマシーン誕生のきっかけは何だったのですか?
新型コロナウイルスの感染が拡大していく中で、サントリーもリモートワークが増え、対面する機会がどんどん減りました。そのころ私は、健康食品やサプリなどを扱っている別のグループ会社から、飲料の宣伝を担当する今の職場に。扱う商品が違えば、人間関係も一から。人事異動ですが、まさに転職した気分でした。
リモートワークだとコミュニケーションも画面越し。仕事を一緒にする人たちの人柄が見えづらい部分もあり、距離感のつかみ方にも困ることがありました。大きな支障があったわけではありませんが、新しいアイデアなどは生まれづらい部分もあるので、1カ月も経つとちょっとモヤモヤも。振り返ってみると、会話未満の雑談が大事だったなと感じました。
そんな時に、付き合いのある広告会社から「雑談」をテーマにした企画を聞いたんです。リモートだから雑談が減ったとは考えていなくて、きっかけがあれば雑談もこれまで通りできるのではないか。そう思って、「自然と雑談が出る仕掛けを本気で考えよう」とプロジェクトを立ち上げました。
――そこからマシーンの製作に移ったわけですか?
いえ、最初はリモート会議中の背景ポスターを考えていました。「1円玉の材料費は2円です」といったような、思わずツッコミを入れたくなる雑学が入ったポスターを作ったのですが、社内からは「最初は盛り上げると思うけど、少し経つと反応しなくなるのでは」という指摘がありました。
そこから、毎回雑談が生まれる仕掛けを考えるようになり、テーマがランダムに決まるような「ガチャ」がいいのではという意見が出ました。チームでリモート会議を重ねて、扇風機の羽根を回してテーマを決める「ザツダンマシーン」にたどり着きました。
3年前に発売開始したクラフトボスが、「働く人すべての多様なワークスタイルに寄り添う」をコンセプトにしているので、リモート会議の課題を解決するこのマシーンはぴったりでした。そこで、「コーヒーの日」である10月1日にキャンペーンができるよう、準備を進めました。
【取材しました】クラフトボス@_craftbossが「#ザツダンマシーン」を作ったと聞いて、その直球過ぎるネーミングにひかれたので、実物を見にいきました。ずっと回る羽根を見ていたら、ごきげんようのサイコロを思い出しました。記事も後ほど公開。 pic.twitter.com/OxoffnR1Mj
— 丹治翔/withnews副編集長/朝日新聞次世代チーム (@shou_tanji) October 1, 2020
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